2021 Fiscal Year Research-status Report
Phactr1遺伝子変異を背景とするウエスト症候群の分子病態メカニズムの解明
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20K08200
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Research Institution | Institute for Developmental Research Aichi Developmental Disability Center |
Principal Investigator |
浜田 奈々子 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 分子病態研究部, 研究員 (70721835)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ウエスト症候群 / Phactr1 |
Outline of Annual Research Achievements |
Phactr1はウエスト症候群患者より遺伝子変異が同定された遺伝子であり、これまでに変異タンパク質の性状解析や大脳皮質形成に及ぼす影響について解析してきた。これまでの結果を踏まえて本研究では、PHACTR1変異の臨床的意義に焦点を絞り、患者由来リンパ芽球の生化学・細胞生物学的解析、結合する分子群(Protein phosphatase 1、KCNT1(小児てんかん性脳症の原因遺伝子))との相互作用等の解析により、ウエスト症候群の分子病態メカニズムの一旦を解明することを目的とする。本年度はPhactr1の結合分子とされるKCNT1(slack)について解析を進めた。昨年度作成したRNAiベクターに追加して新たに6個のベクターを作成し、その中からCOS7細胞において発現抑制効果が高い4個のベクターを選抜した。これらのベクターを用いてマウス子宮内胎仔脳遺伝子導入法を用いて大脳皮質II/III層の神経細胞のKCNT1を発現抑制したところ、神経細胞移動が障害された。移動中の細胞の形態を観察したところ、先導突起が進行方向にない細胞が多く観察された。また反対側の大脳皮質に向かう軸索の伸長はKCNT1の発現抑制により著しく抑制された。さらにこれらの表現型が野生型Phactr1の導入によりレスキューされるか検討を行ったが、細胞移動障害、軸索伸長阻害のいずれにおいてもレスキュー効果は確認出来なかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
KCNT1の発現を十分に抑制する複数のRNAiベクターを作成し、in vivo解析により、様々な表現型解析が可能となっている。解析バッテリーに沿って順調に解析が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
KCNT1の機能阻害による大脳皮質ニューロンの移動障害、軸索伸長阻害はPhactr1の過剰発現でレスキューされなかったため、Phactr1疾患由来変異体を導入し表現型がより増悪するか評価する。またPhactr1の発現抑制が引き起こす移動障害についてKCNT1の過剰発現でレスキューされるか検証する。またPHACTR1とKCNT1の結合ドメインの同定、PHACTR1変異がKCNT1との相互作用や細胞内局在に及ぼす影響のin vitro解析を行う。
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Causes of Carryover |
実験計画の内容が前後し、in vitro解析を先に行い、in vivo解析を後に回したため。翌年度はマウスを使用した解析が増加するため、これに充てる。
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