2023 Fiscal Year Annual Research Report
Phactr1遺伝子変異を背景とするウエスト症候群の分子病態メカニズムの解明
Project/Area Number |
20K08200
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Research Institution | Institute for Developmental Research Aichi Developmental Disability Center |
Principal Investigator |
浜田 奈々子 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 分子病態研究部, 主任研究員 (70721835)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Phactr1 |
Outline of Annual Research Achievements |
Phactr1はウエスト症候群患者より遺伝子変異が同定された遺伝子であり、これまでに変異タンパク質の性状解析や大脳皮質形成に及ぼす影響について解析してきた。これまでの結果を踏まえて本研究では、PHACTR1変異の臨床的意義に焦点を絞り、患者由来リンパ芽球の生化学・細胞生物学的解析、結合する分子群(プロテインフォスファターゼ 1、KCNT1(小児てんかん性脳症の原因遺伝子))との相互作用等の解析により、ウエスト症候群の分子病態メカニズムの一旦を解明することを目的とした。本年度は新しくベクターを作成し、KCNT1のノックダウンが引き起こす神経細胞移動障害は、RNAiレジスタントベクターにより表現型がレスキューされることを確認した。これを踏まえ、KCNT1の発現抑制による移動障害がPhactr1で改善されるかを検討したが、移動障害は改善されなかった。総括として、本研究ではPhactr1ヴァリアントを有するウエスト症候群患者2名からリンパ芽球を樹立した。リンパ芽球の細胞形態、Phactr1の発現量、細胞内局在、刺激応答性は健常者由来の株と同様であった。マウス子宮内胎仔脳遺伝子導入法を用いたKCNT1の発現抑制により、大脳皮質神経細胞では、神経細胞移動障害、移動中の細胞形態異常、対側への軸索伸長阻害が観察された。Phactr1の発現抑制でも同様の表現型異常が見られるが、相互の連関は見られず、それぞれの経路は独立して機能していると示唆された。
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