2022 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍優先的にP53応答を引き出す小児白血病の新たな分子標的治療戦略
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20K08209
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
河原 康一 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (00400482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 康裕 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (30398002)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 新規がん分子標的治療薬 / TP53 / 小児白血病 / 血液毒性が低い |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、核小体を起点としてがん抑制因子P53を活性化させる、核小体ストレス応答機構が明らかになってきた。我々はこれまでに、大規模な薬剤スクリーニングによって、DNA損傷なく、核小体ストレス応答を活性化し、P53の増加により、小児白血病細胞を殺傷する化合物を同定し、この化合物から動物に経口投与可能な合成化合物を作出した。このような背景を受け、本研究では同定済み化合物を用いて、バックアップ/適応拡大のためのがん種の特定、薬効を予測する評価系の構築を検討した。 まずはオンコパネルアッセイによって、種々のがん細胞株を対象に、同定済み化合物の感受性を評価した。結果として、小児白血病に加えて、様々な造血器腫瘍に感受性が高いことが判明した。さらに特定の固形腫瘍にも効果が高いことを明らかにした。感受性の高い腫瘍細胞株はさらに、感受性の再現性、P53を増加させる作用、薬効の核小体ストレス応答への依存性を検討し、高感受性かつ、コンセプトと合致する薬効を示すがん細胞腫を特定した。今後、これらの細胞株が所属する臓器の腫瘍を、バックアップ/適応拡大のためのがん種とし、開発を進める。 このようにオンコパネルアッセイによって、細胞株ごとに感受性が大きく異なることが判明したことから、同定済み化合物の感受性に関わる因子を探索し、新たに因子Xを同定した。また因子Xに対するモノクローナル抗体を作製し、特異性を確認する共に、ヒト組織切片での免疫染色の条件の設定を完了した。今後は治療効果の検証をさらに進めるとともに、因子X抗体による同定済み化合物の感受性を予測する診断システムを構築し、新たな機序で作動する小児白血病のがん分子標的治療薬及び、そのコンパニオン診断薬の開発を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
種々の腫瘍細胞株の感受性試験から、高感受性かつコンセプトに合致する腫瘍細胞を特定し、バックアップや適応拡大のためのがん種を明らかにできた。また感受性を予測する評価系の構築もおおむね完了しており、順調に研究を進められた。
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Strategy for Future Research Activity |
適応拡大/バックアップのがん種として同定した腫瘍細胞株を移植したマウス担がんモデルを作出し、in vivoの有効性を検証する。一方、感受性を予測する診断技術の確立については、確立した組織免疫染色法の設定条件を用いて、小児白血病及び固形がん患者検体を評価し、評価系の妥当性の検証および診断技術の確立を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍であったため、国外の学会への参加ができず、余剰金が生じた。またコロナ禍中、必要な試薬の納入が遅れ、解析が遅延し、翌年度に繰り越した。翌年度に国外の学会で成果発表を行い、解析に必要な試薬消耗品に充てる。
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Research Products
(11 results)