2021 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of the mechanism of Th2 lymphocyte-mediated energy expenditure in adipocytes
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20K08214
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
中江 淳 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (00344573)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肥満 / 皮下脂肪組織 / ベージュ脂肪細胞 / Th2リンパ球 / Ccl22 / Ccr4 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに、CD4陽性Tリンパ球でFoxoファミリー遺伝子量の低下によりGata3遺伝子発現が増加することによりTh2リンパ球サブセットの誘導につながることを明らかにした。さらに、このTh2リンパ球が寒冷刺激により、脂肪組織へリクルートされることを明らかにした。本年度は、この脂肪組織へのリクルートさせるメカニズムについて解析を行った。免疫細胞をある特定の組織へリクルートさせるメカニズムには、ケモカインーケモカイン受容体システムがよく知られている。Th2リンパ球に関しては、リクルートさせるケモカインとして、C-C Motif Chemokine Ligand 22 (Ccl22)およびCcl17が知られている。そこで、今回、当該研究者は、寒冷刺激下のマウスにおける皮下脂肪組織、腹腔内脂肪組織、褐色脂肪組織におけるCcl22遺伝子およびタンパクの発現について検討を行った。その結果、マウスを4oCで飼育した際、Ccl22遺伝子は、皮下脂肪組織特異的に発現が増加することが明らかになった。さらに、Ccl22遺伝子発現増加に伴い、Th2リンパ球マーカーの一つであるケモカイン受容体 C-C chemokine receptor type 4 (Ccr4)遺伝子発言の増加が、皮下脂肪組織特異的に増加することが認められた。これは、これまで白色脂肪細胞のベージュ化に関与しているとされてきた抗炎症性マクロファージ、好酸球、Innate lymphoid cell type 2 (ILC2)の遺伝子マーカー発現の誘導が、皮下脂肪組織のみならず腹腔内脂肪組織でもおこることと対照的であり、寒冷刺激によるCcl22-Ccr4システムの活性化が、皮下脂肪組織特異的であることが考えられ、白色脂肪組織のベージュ化に関与している可能性を示唆させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究から、白色脂肪細胞のベージュ化を誘導させる新たな因子として、ケモカインCcl22を候補タンパクとして、同定することができた。Ccl22の寒冷刺激下における白色脂肪細胞のベージュ化に関する報告は今までない。したがって、本研究は、さらに進めていく価値があると考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までの研究結果から白色脂肪細胞のベージュ化誘導タンパクとして新たにケモカインCcl22が候補に挙げられた。今後は、Ccl22の脂肪細胞ベージュ化の生理的作用の有無を検討することに焦点があてられる。方法として、抗Ccl22抗体のマウスへの投与でCcl22作用の抑制することによりマウスの寒冷刺激下でのベージュ化を抑制できるか検討すること、また、逆にCcl22をマウスへ投与することによりベージュ化を促進できるかを検討することが、短期的には、トライする価値があるかもしれない。しかしながら、投与方法は、脂肪組織特異的に作用させることは、難しいかもしれない。現在、最も適切でエレガントな方法としては、組織特異的Ccl22ノックアウトマウスを作製し、ベージュ化抑制の表現型、すなわち、寒冷刺激下での直腸温低下促進、室温飼育下でのエネルギー消費抑制、さらに、高脂肪食飼育下での肥満促進の表現型が得られるかなどの、検討を加えることであると考えられる。以上の薬理学的検討および遺伝子改変マウスを加えた検討で、Ccl22の生理的作用を明らかすることにより、Ccl22が抗肥満治療の新たな標的分子として、今後さらに発展させられると考えられる。
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Causes of Carryover |
当該年度においては、COVID19感染下において、学術総会のWeb開催による国内外学会の欠席に伴う旅費等の支出の低下が、次年度使用額としての600000円ほどの未使用額になったと考えられる。次年度は、当該研究から得られた成果をもとに遺伝子改変マウスの作製を予定しており、当該年度 の予算を使用する予定てある。
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Research Products
(1 results)