2020 Fiscal Year Research-status Report
新生児壊死性腸炎に対するテトラヒドロビオプテリンの有効性
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20K08216
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
瀬尾 尚吾 順天堂大学, 医学部, 准教授 (40772918)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 新生児壊死性腸炎 / 腸管免疫 / 腸管神経叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究から新生児壊死性腸炎(NEC)の病態には、感染、臓器の循環障害、未熟な腸管バリア機能、低酸素、ミルクの浸透圧など様々な要素が関連していると考えられてきたが、その発生機序にはまだ不明な点が多い。確立された治療法はなく、発症するとその死亡率は50%に上ると言われており、病態解明、合併症のない治療法の確立は急務である。 NECの病態解明、新たな治療標的の検証を可能にすべく、マウスを用いてNECモデルの作成を行った。過去の報告に準じて申請者が以前所属していた施設で行っていた、NECを惹起すると考えられているストレスを与えることで誘発する方法で行った。生後5日の新生児マウスを母親から分離し、高浸透圧ミルクによる栄養、低酸素負荷、Lipopolysaccharideの投与を5日間行うことでNECの誘発を行った。腸管損傷は、HE染色による腸管絨毛の変化(高さ、密度など)及び腸管筋層の変化、q PCRで炎症マーカー(IL-6、TNF-aなど)を測定することで評価可能であった。複数回にわたり同様の誘発を行い、比較的軽微な腸管損傷を確認することができた。しかし、これはこれまでの報告と比較し軽微なものであり、現時点ではモデルとしては不十分であると評価した。予定していたブリーディングが行えず新生児マウスの不足により試行回数が不十分であること、施設間のマウスの育成環境に差があり、現状の誘発不可ではストレスが不十分であることなどが原因と考えられ、更なるモデル作成の試行、育成・誘発負荷条件の調整を要する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
十分な腸管損傷が起きている壊死性腸炎マウスモデルの作成が不十分であった。新型コロナウイルス感染症の流行により予定していたブリーディングが行えず新生児マウスの不足により試行回数が不十分であった。施設によりマウスの育成環境に差があると考えられ、育成・誘発負荷条件の調整を要する。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、安定した壊死性腸炎モデルマウスの作成を図る。 また、壊死性腸炎に深く関与する腸管免疫に着目し、無神経節腸管マウスモデルを使用し、未熟な腸管神経叢と腸管の免疫機構との関連性を検証する。
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Causes of Carryover |
参加予定であった学会が中止されたため。次年度に学会が開催されるようであれば、本年度分を充当する予定である。
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