2020 Fiscal Year Research-status Report
Insight into the neuropathological mechanism of functional brain network abnormalities in offspring with maternal immune activation
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20K08222
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
水間 広 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 研究員 (00382200)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 母体免疫活性化 / 自閉症スペクトラム障害 / マウス / ミクログリア / イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉症スペクトラム障害(ASD)の病因に、周産期における神経免疫機構異常の関与が示唆されているが、生後の社会性行動異常を含めたASDの特徴的な症状との関連性については不明な点が多い。我々はASDの病因解明に向け、病態モデル動物による生体イメージングを中心とした基礎研究に取り組んできている。イメージング手法として、小動物用のポジトロンエミッショントモグラフィー(PET)や安静時機能的磁気共鳴画像(rs-fMRI)を用い、特に麻酔を使用しない覚醒下での脳機能計測を同一個体にて実施している。これまでの研究では、妊娠期の疑似ウイルス感染により母体免疫活性化を引き起こされ、周産期の神経免疫機構異常を再現された病態モデルマウスでの検証を行った。その結果、正常発達マウスと比較して大脳神経機能ネットワーク過活動や糖代謝活性異常を見出した。特に、神経機能ネットワーク過活動はヒトASD患者での研究でも同様の結果が得られており再現することに成功した。本研究では、モデルマウスの生後神経機能ネットワーク異常の成因に、胎生期神経免疫応答によりミクログリア活性、すなわち脳内炎症状態が関与するのか、また、ミクログリア活性がシナプス形成への影響を及ぼすか否かについて検討するため、本申請課題では、MIAモデルマウスの脳内炎症とシナプス形成異常の探索および関連性から異常領域を抽出し、その異常領域における神経病理およびミクログリア活動調節による改善の可能性を調べる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
胎仔期に母体免疫活性化を受けて出生したマウスが成長後に脳内炎症が誘発されるか否かについて最初に検討した。特に、母体免疫活性化を引き起こすウイルス疑似感染誘導物質であるPoly I:Cの投与濃度との関連について検証した。マウス妊娠12.5日目にPoly I:Cを腹腔内に投与し、出生した仔マウスを6週齢または10週齢において、コミュニケーション能力を測定するスリーチャンバー装置による社会性アプローチテスト、そして繰返し行動や興味の限局性をマーブル床敷埋めテストを行い、投与濃度による社会性行動異常の変化が認められた。社会性行動実験後に、出生仔マウスの脳組織を採取し、同マウスのミクログリア活性およびシナプス密度について免疫組織化学染色を用い組織学的検討を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
病態モデルマウスの出生後に出現する社会性行動異常の程度とミクログリア細胞機能との関連性について、死後採取した脳組織を用いた組織化学的検討と並行して、成長とともに変化する脳内のミクログリア活性やシナプス密度を、生体イメージング法により調べる。特に我々が以前に開発した無麻酔下PETイメージング手法を用い、ミクログリア活性を調べるために、ミトコンドリア外膜に発現する18kDaのトランスロケータータンパク質に高選択的に結合する[18F]DPA-714や、また、シナプス密度を見るために、シナプス小胞タンパク質であるSV2Aに結合する[11C]UCB-J等のPETトレーサーを投与し、脳内分布について対照となる正常発達した仔マウスと比較することで、脳内炎症とシナプス密度の関係性をマッピングする予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染対応により、4-6月までの研究活動が制限され、実験用動物を用いた実験が当初予定していた回数よりも少なく、使用額が減ったため。
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