2021 Fiscal Year Research-status Report
Tumor-tropic liposome-mediated therapeutic delivery of mRNA for the treatment of adolescent and young adult cancers.
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20K08227
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
齋藤 章治 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (10623762)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ナノ粒子 / 遺伝子治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はAYAがんの中でも、乳がんに対する有効性評価を中心に研究を行った。ローダミン標識GFP遺伝子内包ナノ粒子は3つの乳がん細胞株であるSKBR3, MDA-MB231,MCF7に対し、効率よく取り込まれ(ローダミン発現:90.8~99.0%)、優れた遺伝子導入効率(GFP発現:84.1~92.1%)を示した。またこのナノ粒子に自殺遺伝子を内包することで、in vitroにおいてすぐれた抗腫瘍効果をもたらすことを明らかにした。 このin vitro抗腫瘍効果については、自殺遺伝子が直接腫瘍細胞内で作用し、アポトーシスを誘導することでもたらされていることを確認した。自殺遺伝子内包ナノ粒子の抗腫瘍効果は細胞株によって異なり、SKB3、MDA-MB231に対しては優れた抗腫瘍効果が確認された一方、MCF7に対する抗腫瘍効果は比較的弱かった。この現象は、感受性株であるSKB3およびMDA-MB231におけるアポトーシス関連遺伝子の活性化と関連している可能性が考えられた。さらに、治療抵抗性を示したMCF7に対しては、プロテアソーム阻害薬を併用することで、治療抵抗性を緩和させることに成功した。 また、MDA-MB231を用いた担癌マウスモデルにおいても抗腫瘍効果を評価したが、in vitroでみられた優れた抗腫瘍効果が観察されなかった。この原因として、生体内でのナノ粒子の安定性が影響していると考えらえた。このため、体内での安定性と抗腫瘍効果を向上させるようなナノ粒子の組成改良を行う方針とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に引き続き比較的順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
担癌マウスモデルにおいて、ナノ粒子の抗腫瘍効果を評価する。すでに複数の改良型候補ナノ粒子を新たに開発しており、まずは改良型ナノ粒子のin vitroでの遺伝子導入効率と抗腫瘍効果を確認する。In vitroで有効性が確認された改良型ナノ粒子については、担癌マウスモデルにおいてその効果を実証する。 あわせて発光遺伝子内包ナノ粒子を、担癌マウスにおける腫瘍内注射することで、腫瘍内の拡散を確認するほか、正常臓器への移行を確認することで、安全性の評価を行う。 さらに、他のAYA世代がん種においても本治療法が応用可能かを調べるため、神経芽腫、神経膠腫等他のがん種の細胞株を用いて遺伝子導入効率およびin vitro抗腫瘍効果を評価する。また、有効性の確認されたがん種においては、担癌マウスモデルを作成し、in vivoにおける抗腫瘍効果を評価する。 これらの実験を通して、自殺遺伝子内包ナノ粒子を用いた新規遺伝子治療法の難治がんに対する有効性を検証する。
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Causes of Carryover |
予定よりも順調に実験が進んだため、試薬の購入量が想定よりも少なかった。また次年度には担癌マウスモデルを用いた実験を複数回行う予定であり、繰り越した金額を当該実験に用いる予定である。
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Research Products
(2 results)