2022 Fiscal Year Research-status Report
人工知能(AI)とRNA-Seqの融合による遺伝性小児神経疾患の新たな病因解明
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20K08236
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
加藤 光広 昭和大学, 医学部, 教授 (10292434)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮 冬樹 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (50415311)
中村 和幸 山形大学, 医学部, 助教 (20436215)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 人工知能 / スプライス異常 / RT-PCR / エクソーム / RNA-Seq |
Outline of Annual Research Achievements |
小児期発症の希少難治性神経疾患は遺伝性が高い。私たちは1000家系以上でエクソーム解析を行い、多数の原因遺伝子を明らかにしてきたが、全ゲノム解析でも原因同定率は60%程度であり、新たな解析方法の開発が求められている。エクソーム解析では原因が不明であった脳形成異常例に、人工知能(AI)技術を用いたスプライス部位の予測アルゴリズムSpliceAIを用いて解析したところ、劣性遺伝の小頭症3家系6名に共通するスプライス変異を同定した。同定した変異部位はエクソンから40塩基対以上離れたイントロンに存在し、従来のスプライス部位予測アルゴリズムでは検出できていなかった。その後、株化リンパ球を用いた発現実験を行い、RT-PCRで正常とは異なる長さの転写産物を認め、スプライス異常を確認した。スプライス異常検出におけるAI技術の有用性を確認した。SpliceAIのアルゴリズムをエクソームデータの解析プラットフォームに組み込み、新規にエクソーム解析を行った発端者295例+家族193検体の計488検体についてスプライス異常の検出を試みた。その結果、発端者50例でスプライス異常が予測された。多くは親由来で病原性は否定的であったが、7例で疾患原因と考えられるde novoのスプライス異常が予測される変異を認めた。うち2例はSpliceAIのスコアは低かったが、ACMGガイドラインではpathogenicと判定された。1例で株化リンパ球を用いた発現実験を計画し、RNA-Seq解析では株化リンパ球での発現がなかったため、強制発現実験のための細胞培養を進めている。他に10家系12例でスプライス異常を同定した。うち1例はエクソンイントロン境界から27bp離れていたが、SpliceAIのスコアは高く、RT-PCRを行い21アミノ酸のインフレーム挿入が生じるスプライス異常であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
株化リンパ球を用いた発現実験を行い、RT-PCRで正常とは異なる長さの転写産物を認め、スプライス異常を確認し、スプライス異常検出におけるAI技術の有用性を確認した。SpliceAIのアルゴリズムをエクソームデータの解析プラットフォームに組み込み、新規にエクソーム解析を行った発端者295例+家族193検体の計488検体についてスプライス異常の検出を試みた。その結果、発端者50例でスプライス異常が予測された。多くは親由来で病原性は否定的であったが、7例で疾患原因と考えられるde novoのスプライス異常を認めた。うち2例はSpliceAIのスコアは低かったが、ACMGガイドラインではpathogenicと判定された。遺伝子Xの株化リンパ球を用いた発現実験を計画したが、遺伝子Xは、RNA-Seq解析では株化リンパ球での発現がなかった。株化リンパ球をゲノム編集し遺伝子Xを強制発現させる実験計画を追加し、倫理審査で承認された。現在、リンパ芽球の細胞培養を進めている。SpliceAIでスコアの低かった1例に対し、血液から抽出したRNAを用いてRT-PCRを行いスプライス異常の有無を検討した。スプライス異常を示すバンドは得られず、SpliceAIの予測通り、スプライス異常ではなく、アミノ酸置換によるタンパク質の機能異常が考えられた。毛根組織などを用いたRNA-Seq解析に関しては進捗が遅延している。RNA解析関連の試薬を用いたコントロール検体での検討やリンパ芽球樹立の準備が遅れていることが要因である。他に10家系12例でスプライス異常を同定した。うち1例はエクソンイントロン境界から27bp離れていたが、SpliceAIのスコアは高く、RT-PCRを行い21アミノ酸のインフレーム挿入が生じるスプライス異常であることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、エクソーム解析データのSpliceAIによるスプライス異常の検出と病原性の確認を進める。検出されたスプライス異常については、株化リンパ球を用いて、RT-PCRを行い転写産物の長さを調べ、スプライス異常が起きているかどうかを確認する。遺伝子Xでは株化リンパ球での発現がなかったため、ゲノム編集による強制発現を行い、スプライス異常を確認する。毛根による発現解析を進める。トリオエクソーム解析で原因が同定されなかった症例について、RNA-Seqの解析を進める。コントロール検体として毛根・脳組織・リンパ芽球からRNA抽出を行いRNA-Seq解析を行いデータの質の確認を行う。疾患検体(毛根・リンパ芽球)におけるRNA-Seqへ進み、DNAの変異と関連したRNA発現の解析をまとめる。てんかん症例で同定したSCAF4変異の転写制御への影響を調べるために、RNA-seqを行い、ヒートマップ解析とパスウェイ解析などを追加して行う。
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Causes of Carryover |
mRNA合成過程においてpoly(A)を介した転写制御にSCAF4が関わっている。今年度てんかん症例で疾患原因と考えられるSCAF4変異を同定した。患児と両親を含むコントロール検体に対して、RNA-seqを行い、ヒートマップ解析とパスウェイ解析などを追加して比較検討する追加実験の必要性が生じたため、次年度に繰り越した。
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Research Products
(14 results)