2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K08237
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
薮内 智朗 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (60791936)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張田 豊 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (10451866)
神田 祥一郎 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60632651)
服部 元史 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (50192274)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膜性腎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
膜性腎症は、糸球体基底膜上皮下に免疫複合体が沈着し補体の活性化により惹起される疾患である。長らくその原因となる抗原は不明であったが、近年成人の特発性膜性腎症の原因となるいくつかの抗原が発見され、特異的な治療に向け臨床的取り組みが進みつつある。 小児特発性膜性腎症においてPLA2Rなど既知の膜性腎症抗原の陽性率は極めて低いため、小児の膜性腎症の発症機序が成人と異なると考えられる。 小児膜性腎症の原因抗原を探索するためにプロテインアレイを用いた網羅的な解析を行った。小児膜性腎症患者のうち、IgG4が優位で沈着している症例、およびIgG3優位で沈着している症例とコントロール(非膜性腎症患者)の血清を用い、プロテインアレイに反応させ解析した。その結果小児膜性腎症患者のIgG4陽性群、IgG3陽性群でそれぞれ60個をこえる特異的自己抗原候補、及び両群に共通の自己抗原を同定した。なお、膜性腎症の原因抗原は報告がふえているものの、これらの抗原に対する抗体は検出されておらず、既知の原因抗原によるものではないことが示唆される。本研究では候補分子及びそれに対する自己抗体について検討を進め、小児膜性腎症の原因を確立する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
得られた候補分子について、データベース(プロテオームデータベース、Human Protein Atlas、Kidney Cell Explorer(シングルセルのデータに基づいた発現データベース)等)を用いて発現パターンを検討した。また抗体を用いた解析が可能な分子についてはマウス/ラット腎臓および健常ヒト腎組織(腎腫瘍の健常部分およびドナー腎の生検組織の一部を使用)を用いて免疫組織染色を行った。候補分子のうちいくつかの分子は腎糸球体発現を認めた。特にIgG4陽性群で抗体価の上昇が見られた候補分子Aはこれまで腎臓での働きについて検討がなされておらず機能が不明であるが、腎臓においては糸球体上皮細胞に特異的に発現する分子であった。この分子を中心として、膜性腎症患者の血中および組織中での候補分子の発現変動および候補分子に対する抗体価の変動について検討を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
膜性腎症患者のサンプルの収集をと合わせ、候補分子の生体内での変動について検討を進めていく。
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Causes of Carryover |
コロナウィルス感染症流行により学会発表の機会が減少したことや、早期から有力な候補に注力することにより一部の研究を翌年度にずらすなどの変更があったため次年度使用額が生じた。
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[Presentation] 小児腹膜透析患者における酸性透析液と腹膜病理像との関連性の検討2021
Author(s)
白井陽子, 服部元史, 石塚喜世伸, 薮内智朗, 金子直人, 三浦健一郎, 飯田貴也, 安藤太郎, 石和翔, 白鳥孝俊, 種田積子, 本田一穂
Organizer
第55回日本小児腎臓病学会学術集会
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[Presentation] エプスタイン症候群の腎生検初見と臨床経過2021
Author(s)
三浦健一郎, 服部元史, 白井陽子, 大塚泰史, 大和田葉子, 吉田晃, 東義人, 西山慶, 此元隆雄, 諸橋環, 濱田陸, 石倉健司
Organizer
第56回日本小児腎臓病学会学術集会