2022 Fiscal Year Research-status Report
ネフローゼ症候群新規原因遺伝子IL1RAPを軸とするネフローゼ症候群の病態解明
Project/Area Number |
20K08240
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
熊谷 直憲 藤田医科大学, 医学部, 講師 (40400329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 朋実 藤田医科大学, 医学部, 助教 (00866428)
池住 洋平 藤田医科大学, 医学部, 准教授 (70361897)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | IL1RAP / IL1受容体ファミリー / ネフローゼ症候群 / 免疫複合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度はIL1RAPとIL1RAPを補助受容体とするIL1R1の発現をステロイド依存性ネフローゼ症候群、ステ ロイド抵抗性ネフローゼ症候群、IgA腎症、膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、ループス腎炎などの腎病理組織検体を対象に免疫染色法により検討した。その結果、IL1RAPおよびIL1R1が膜性腎症のみで糸球体に発現している可能性が示唆された。 そこで今年度はIL1RAPとIL1R1のみならずIL1RAPを補助受容体とする他のIL1受容体ファミリーの発現を、ステロイド依存性ネフローゼ症候群、ステ ロイド抵抗性ネフローゼ症候群、IgA腎症、膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、ループス腎炎などの腎病理組織検体を対象に免疫染色法により検討した。その結果、少数例での検討ではあるがIL1RAPを補助受容体とするIL1受容体ファミリーはいずれも膜性腎症及びループス腎炎においても発現が認められた。このことから、IL1RAP及びIL1RAPを補助受容体とするIL1受容体ファミリーは免疫複合体が関与する糸球体疾患で病態生理学的に重要な役割をに担っていることが示唆された。 そこで、膜性腎症の実験動物モデルであるラットのHeyman腎炎において、IL1RAP及びIL1RAPを補助受容体とするIL1受容体ファミリーの発現を腎組織を対象に免疫染色法により検討した。Heymann腎炎では免疫複合体が病態生理学的に重要な役割を担っていることが報告されている。その結果、ヒトの膜性腎症やループス腎炎とは異なったパターンでIL1RAP及びIL1RAPを補助受容体とするIL1受容体ファミリーの発現が認められた。 これらの結果は、IL1RAPはネフローゼ症候群において糸球体上皮細胞内で病態生理学的に役割を担っているという本研究計画の仮説に反するものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度までの研究結果は、IL1RAPはネフローゼ症候群おいて糸球体上皮細胞内で病態生理学的に重要な役割を担っているという本研究計画の仮説に反するものであった。このため研究計画の見直しが必要となり、当初の研究計画より進捗状況が遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの研究結果から、IL1RAPはネフローゼ症候群において糸球体上皮細胞ではなく免疫系で病態生理学的に重要な役割を担っていることが想定された。そこで今年度は当初の研究計画で予定していた、免疫細胞であるMDSC細胞のネフローゼ症候群における病態生理学的な役割を検証するため、ネフローゼ症候群の発症時、寛解時、再発時におけるMDSC細胞数の推移などを検討する予定である。 また、IL1RAPおよびIL1RAPを補助受容体とするIL1受容体ファミリーはネフローゼ症候群ではなく免疫複合体の関与する糸球体疾患において糸球体内で病態生理学的に重要な機能を担っている可能性が示唆された。そこで、不死化ヒト糸球体上皮細胞や不死化ヒトメサンギウム細胞などを免疫複合体などと反応させ、IL1RAP及びIL1RAPを補助受容体とするIL1受容体ファミリーの発現に変化が生じるか検討する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度までの研究結果から研究計画の見直しが必要となった。そのため今年度の研究内容を変更し来年度に継続して行うこととしたため、次年度使用額が生じた。
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