2020 Fiscal Year Research-status Report
無莢膜型インフルエンザ菌による侵襲性感染症の病態解析
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20K08244
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
後藤 憲志 久留米大学, 医学部, 講師 (90572313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多々良 一彰 久留米大学, 医学部, 助教 (30839006)
田中 悠平 久留米大学, 医学部, 助教 (70446102)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 無莢膜型インフルエンザ菌 / バイオフィルム / 病原性 / 混合感染 |
Outline of Annual Research Achievements |
無莢膜型インフルエンザ菌(NTHi)が侵襲性感染症を引き起こす要因を明らかにするために、2020年度は侵襲性感染症を起こしたNTHiと呼吸器感染症由来のNTHiを用いてバイオフィルム形成能の評価を行った。Plate assayでは侵襲性感染症由来NTHiの方がバイオフィルム産生能が著しく高かった。これを踏まえバイオフィルムをdrip flow assayでスライドガラス上に作成しLIVE/DEAD stainで染色後に共焦点顕微鏡で形態の観察を行った。侵襲性感染症由来NTHiはバイオフィルムのbiomassが著しく増加しており、バイオフィルムに含まれる菌体数も著しく増加していることが確認された。また、バイオフィルム内の菌体の密度も増加していた。またバイオフィルムに含まれる細胞外DNAも一定数存在するが、呼吸器感染症由来NTHiに比べて減少していた。侵襲性感染症由来の菌株は著しくバイオフィルム産生能が高く、またバイオフィルム内に生きた菌が呼吸器感染症由来NTHiと比べて多く存在することも明らかになった。これらの機序をさらに解明するためにNTHiが分泌するDNaseの評価は今後行う必要があるが、菌体が密に存在していたことを考慮し細菌の接着因子も評価も検討する必要がある。 また当施設で経験した肺膿瘍の症例において膿瘍からNTHiが分離された症例の咽頭培養でA群溶連菌も分離された症例もあったため、細菌同士の影響も考慮して、そのA群溶連菌のemm typingとT血清も行った。今後これらの解析も必要となると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は初年度にバイオフィルム内の菌と通常環境で培養した菌からmRNAを回収し、発現している遺伝子の比較を行う予定であったが、まだ実験を行えていない。ただ当初の予定通り侵襲性感染症由来と呼吸器感染症由来ではバイオフィルム内の細胞外DNAに差を認めていたため、HI1296遺伝子解析を優先して行ったことが要因であると考える
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Strategy for Future Research Activity |
今後はバイオフィルムの形態の差をさらに評価するために走査電子顕微鏡を用いて解析を行う。またバイオフィルム内で発現している遺伝子の評価をMinIONで行うと同時に、全ゲノムのドラフトを作成し接着因子の評価も行う予定である。 またCOVID-19の診療、ワクチン業務で実験に裂く時間が削られているのも事実である。今後は研究分担者と仕事の内容をさらに調整し研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
当初MinIONでの発現遺伝子の解析は初年度に行う予定であったが、行えなかったため次年度で行う予定である。差額はWhole genome DNA sequencing kitsとRNA sequencing kitsのコストである。 来年度はさらにバイオフィルム内で発現している遺伝子解析がメインになるのでこれらの試薬をさらに使用する予定である。
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