2021 Fiscal Year Research-status Report
無莢膜型インフルエンザ菌による侵襲性感染症の病態解析
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20K08244
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
後藤 憲志 久留米大学, 医学部, 講師 (90572313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多々良 一彰 久留米大学, 医学部, 助教 (30839006)
田中 悠平 久留米大学, 医学部, 助教 (70446102)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 無莢膜型インフルエンザ菌 / バイオフィルム / 病原性 / 侵襲性感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は無莢膜型インフルエンザ菌が引き起こす侵襲性感染症の病態解析として、新生児の髄膜炎由来株:2株と小児の血液培養由来株:6株のバイオフィルム産性能の評価を行なった。96 well plate assayでバイオフィルムの産性能のスクリーニングを行い、flow cell chamber法で実際のバイオフィルムを共焦点顕微鏡で観察した。新生児由来株はバイオフィルムの産性能は低かったが、一方で小児血液培養由来株はバイオフィルムの産性能が著しく高かった。特に小児由来の株において共焦点顕微鏡の解析では菌体由来の細胞外DNAがバイオフィルムの表面を覆っており、その中には生菌が複数存在することが確認できた。この結果をまとめた報告がヨーロッパ小児感染症学会(ESPID2022)で採択され発表予定である。 また無莢膜型インフルエンザ菌におけるバイオフィルム産性能が何により規定されているのか?という疑問に対して前述の細胞外DNAに着目し、その調節機構の一つとしてバイオフィルム内のthermo nucleaseに関与する遺伝子群の発現解析も行なっている。リアルタイムPCRでの実験系の構築が確立したため、2022年度ではこれらの結果とバイオフィルムの電子顕微鏡画像での解析をまとめ、侵襲性感染症を引き起こす無莢膜型インフルエンザ菌バイオフィルムの構築プロセスについて解析を進め、感染予防の糸口を見出したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は2020年度に停滞していたmRNAの回収の再現性が安定するようになり、バイオフィルム産生に関与する可能性のある遺伝子の候補を抽出することができた。また、バイオフィルム内で発現している遺伝子定量の実験系も確立することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は侵襲性無莢膜型インフルエンザ菌感染症由来株のバイオフィルムの形態的特徴をさらに解明するために走査型電子顕微鏡を用いて形態の観察を行う。同時に、バイオフォルム発現に関与する遺伝子の欠損株を作成しバイオフィルムの産性能、形態がどのように変化するかをflow cell chamber法と捜査型電子顕微鏡で確認する。 またバイオフィルム内で発現している遺伝子群の解析行いquorum sensing機構を明らかにし、無莢膜型インフルエンザ菌が構築するバイオフィルムを阻止できる可能性がある方法、物質を同定したい。
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Causes of Carryover |
本年度は走査型電子顕微鏡での解析が出来なかったため、次年度にその実験を行う予定である。また継続してバイオフィルム内の遺伝子の発現解析を行い、それをもとに遺伝子組み換え体の作成を行う予定である。コロナ禍で国際学会発表が出来ていなかったため、次年度は研究の集大成として研究実績を国際学会で発表する予定である。
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