2020 Fiscal Year Research-status Report
クラッベ病に対するマイクロRNAの病態改善効果とその作用機序の解明
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20K08248
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Research Institution | Institute for Developmental Research Aichi Developmental Disability Center |
Principal Investigator |
稲村 直子 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 細胞病態研究部, 主任研究員 (20397623)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | twitcher / オリゴデンドロサイト / ミエリン / miRNA / ライソソーム病 |
Outline of Annual Research Achievements |
クラッベ病疾患モデルマウス(KDマウス)のオリゴデンドロサイト(OL)を初代培養し分化誘導をかけると分化成熟の異常や毒性のあるサイコシンの蓄積が起こり、細胞死が誘導されることをすでに明らかにしている(Inamura et al., Neurobiology of Disease, 2018)。KDマウスOLでOLの分化成熟に重要なマイクロRNAの量を調べると、OLの発達に伴い顕著にマイクロRNAが減少していることがわかった。そこでKDマウスOLにこのマイクロRNAを発現させると分化成熟異常が改善し、細胞死とサイコシンの量が減少した。このマイクロRNAによるKDマウスOLの病態改善効果はKDマウスでの基質減少療法で使用されるL-シクロセリンやカルモフールを処理したときよりも良好であった。KDマウスOLでのマイクロRNAの病態改善効果をさらに詳しく調べると、マイクロRNAのターゲットとなる遺伝子がKDマウスOLで有意に減少していた。このことからマイクロRNAによるKDマウスOLの病態改善効果は、マイクロRNAによる遺伝子発現調節によると示唆される。さらにKDマウス組織で培養OLと同様にマイクロRNAの発現が減少しているか調べると、大脳皮質や白質の脳梁でマイクロRNAの発現量が抑えられ、マイクロRNAを発現するOLの数が減少していることがわかった。以上の結果を論文にまとめ、Brain Pathology誌に発表した。今後はマイクロRNAにより発現変動する遺伝子の網羅的解析を行いマイクロRNAによるKDマウスOLの病態改善メカニズムをさらに詳しく解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた実験のうち、KDマウスOLでのマイクロRNAの効果やKDマウス脳組織でのマイクロRNAの発現解析についてはすでに結果を出し実験を終了した。マイクロRNAにより発現変動する遺伝子の網羅的解析については、新型コロナウイルスの世界的流行によりサンプル調整に必要な試薬の供給が中断したため、解析に十分な量のサンプルを得ることが出来ず解析を延期することとなった。そこで終了した実験の結果を元に論文を作成することを優先し、論文にまとめて発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
網羅的解析のサンプル調整については、現在確保できる代替品を用いることを検討している。代替品は既に購入しており今後サンプル調整し品質をチェックする。解析に十分な量のサンプルが準備でき次第、解析に進む予定である。
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Causes of Carryover |
網羅的解析に使用する予定であったが、サンプル調整に必要な試薬の供給が新型コロナウイルスの世界的流行により中断し、解析に十分な量のサンプルを得ることが出来なかった。従って解析に進むことが出来ず次年度使用額が生じた。今後はサンプルの準備ができ次第、解析に進む予定である。
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Research Products
(2 results)