2023 Fiscal Year Research-status Report
クラッベ病に対するマイクロRNAの病態改善効果とその作用機序の解明
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20K08248
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Research Institution | Institute for Developmental Research Aichi Developmental Disability Center |
Principal Investigator |
稲村 直子 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 細胞病態研究部, 主任研究員 (20397623)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | twitcher / オリゴデンドロサイト / ミエリン / miRNA / ライソゾーム病 |
Outline of Annual Research Achievements |
マイクロRNA発現によりtwitcherマウスオリゴデンドロサイト(OL)で変動する遺伝子を探査するための網羅的解析を引き続き行った。前年度、発現変動遺伝子が少なかったことに対し、しきい値を変えてさらに解析したが、解析の次の段階に進むだけの十分な数の発現変動遺伝子を得ることが出来なかった。この原因について検討したところ、サンプル間のばらつきが大きいことが原因として考えられた。そこで新たにサンプルを調整し、解析に出すサンプルの選別をより厳密に行った。また解析後のバイオインフォマティクスについてもより一般的な方法に変更した。その結果、サンプルのばらつきが少なくなり、充分な数の発現変動遺伝子を得ることが出来た。野生型マウスOLに対しtwitcherマウスOLで減少し、かつtwitcherマウスOLに対しマイクロRNA発現で増加する発現変動遺伝子を求めると、結果として30の遺伝子が抽出された。GO解析の結果、これらの変動遺伝子はミエリンや細胞骨格に関連しており、今後はリアルタイムPCRにより発現変動をさらに詳しく調べると共に30の発現変動遺伝子がどのように関連しているのかさらに詳しく調べる予定である。 その他、twitcherマウスOLに対するマイクロRNAの効果を模倣する薬剤を探査し、ミエリン促進剤として知られるクレマスチンとSob-AM2によるtwitcherマウスOLの分化成熟異常を改善する効果を比較した。クレマスチンとSob-AM2はどちらもマイクロRNAの発現を介しtwitcherマウスOLの異常な分化成熟を改善する効果はあるが、効果の程度やメカニズムは異なることが示唆された。この結果を論文にまとめ、Molecular Genetics and Metabolism誌に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度の新型コロナウイルスの世界的流行により網羅的解析で必要とする試薬の供給が中断したことを発端として、それによる遅れが後々まで影響したため。さらにサンプルのばらつきがひどく、解析を工夫しても十分な数の発現変動遺伝子が得られず、結局新たにサンプルを作製し選別を行い、再度解析をおこなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
網羅的解析については、新たにサンプルを作製した結果、発現変動遺伝子が絞られた。そこでリアルタイムPCRで発現変動遺伝子の発現変化をさらに詳しく解析する。また発現変動遺伝子間の関連について調べる。マウス脳内でOL特異的にマイクロRNAを発現する実験ではtwitcherマウスにマイクロRNAを発現することによりOLの分化が促進し細胞死が減少しているか調べる。
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Causes of Carryover |
網羅的解析とマウス脳内でのマイクロRNAの発現の実験に使用する。具体的には網羅的解析で検出された発現変動遺伝子の発現をリアルタイムPCRで詳しく調べるための試薬や発現変動遺伝子の蛋白の抗体の購入に使用する。また脳内でマイクロRNAを発現した細胞を解析するための抗体の購入に使用する。
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