2020 Fiscal Year Research-status Report
Identification of the pathological metabolites of peroxisome biogenesis disorder using disease models
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20K08254
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
高島 茂雄 岐阜大学, 高等研究院, 助教 (50537610)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 極長鎖脂肪酸 / 分枝脂肪酸 / プラズマローゲン / ペルオキシソーム / 先天代謝異常症 / 質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は疾患モデルゼブラフィッシュ(pex2変異体)を用いた解析を行った。pex2変異体では受精後1週間前後から運動能が下がり、死亡率が上昇する。運動能の低下の原因として神経系の異常や筋肉の異常が推測された。そこで同時期の変異体及び野生型胚を神経系のマーカーであるアセチル化チューブリン抗体および筋肉系のマーカーである骨格筋ミオシン抗体およびアクチンフィラメント染色試薬のファロイジンを使って染色し、それらの組織の異常の有無を検討した。しかしながらいずれの組織においても形態的な異常は観察されたなかったことから運動能の低下はそれらの組織の発生異常ではなく機能異常に起因することが考えられた。変異体と野生型間の遺伝子発現の違いをマイクロアレイを用いて解析したところ、神経や筋肉の機能発現に重要なパルブアルブミンやトロポニン遺伝子の発現が変異体で顕著に低下していた。従ってこれらの遺伝子の発現低下が運動能の低下を引き起こしていることが示唆された。また、変異体では眼のレンズで重要な働きを持つクリスタリン遺伝子の発現も顕著に低下していた。患者では高頻度で白内障が生じるが、本解析により白内障の原因としてクリスタリンタンパクの減少が示唆された。これらの遺伝子発現低下が引き起こされるメカニズムの解明が今後の検討課題である。また変異体において運動能が低下する時期における脂肪酸代謝変動を質量分析装置を用いて網羅的に解析した。その結果変異体では極長鎖脂肪酸の軽度な増加と多価不飽和脂肪酸の減少が検出された。これらの脂肪酸変動が上記遺伝子の発現変化を誘導するのではないかとの仮説を立て今後は脂肪酸の導入実験を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り変異体における脂肪酸変動と遺伝子発現変動を明らかにすることができた。病態発現因子の候補となる遺伝子や脂肪酸種の同定ができたため、今後はそれらの病態発現への関与を直接的な投与実験や強制発現実験により検証する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
上記実験と合わせてヒト患者由来iPS細胞から分化させた神経組織の脂肪酸変動を解析し、病態発現の候補代謝産物を明らかにする予定である。ゼブラフィッシュで得られた知見との比較を行い、神経系の病態発症に関与する代謝産物を特定し投与実験により病態発現への関与を検証する予定である。
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Research Products
(1 results)