2021 Fiscal Year Research-status Report
Identification of the pathological metabolites of peroxisome biogenesis disorder using disease models
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20K08254
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
高島 茂雄 岐阜大学, 糖鎖生命コア研究所, 助教 (50537610)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 極長鎖脂肪酸 / 分枝脂肪酸 / プラズマローゲン / ペルオキシソーム / 先天代謝異常症 / 質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は主に疾患モデル細胞を使った研究を行った。PEX3遺伝子に変異を持つHEK293細胞を作成して、表現型解析と脂肪酸代謝変動解析を行った。CRISPR/Cas9による変異導入でpex3の機能が完全に欠失したnull変異型(重症型患者モデル)と一部のアミノ酸のみが欠失したhypomorph変異型(軽症型患者モデル)の細胞クローンを樹立した。Null型とhypomorph型で脂肪酸発現変動を網羅的に比較したところ、null型では飽和型と多価不飽和型の両方の極長鎖脂肪酸が蓄積していたが、hypomorph型では多価不飽和型の極長鎖脂肪酸の蓄積はほとんど見られず、この違いが病態の違いにつながっているのではないかと考えられた(null型変異細胞の脂肪酸変動はnull型疾患モデルゼブラフィッシュと同様であった)。Hypomorph型変異細胞のペルオキシソームを観察した結果、細胞ごとにペルオキシソームの数が大きく異なる、"モザイクペルオキシソーム"の表現型を呈していた。詳細に解析した結果、細胞ごとにペルオキシソームが数日間隔の周期で、消失しては生成することを繰り返していることが判明した。同様の結果が軽症型の患者細胞を使った解析からも得られた。これらの結果から、(少なくとも一部の)軽症型の患者ではペルオキシソームの機能が細胞単位で変動していることが示唆された。Hypomorph型変異細胞を用いてペルオキシソームの生成を活性化することのできる低分子化合物をスクリーニングすることで治療薬候補が得られる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初に予定した通りに疾患モデル(ゼブラフィッシュ変異体)における脂肪酸代謝変動と遺伝子の発現変化を明らかにし、器官や組織ごとの病態発症に関わる可能性のある脂肪酸種を見出すことに成功した。またそれらの結果について論文にまとめ学術誌上で報告した。さらに疾患モデル細胞を用いた研究からは、上記と同様の代謝変動に加え、軽症型患者の治療法開発につながるペルオキシソームの周期的な変動という新たな知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初は神経系の病態発症を指標にして、病態発症因子候補となる代謝産物の検証を行う予定にしていたが、疾患モデルフィッシュの神経系では明らかな形態的異常が認められなかった。そのため一部方針を変更し、候補代謝産物や低分子化合物を直接ゼブラフィッシュ個体や培養細胞に導入し、これまでの実験で明らかにした遺伝子発現変動を再現する脂肪酸種や、軽症型モデル細胞においてペルオキシソームの生成を促す脂肪酸種をスクリーニングすることで、病態発症因子となる代謝産物や治療薬候補を特定する予定である。
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Research Products
(4 results)