2022 Fiscal Year Annual Research Report
間葉系幹細胞のstemnessに影響を及ぼす代謝経路の多様性の検討
Project/Area Number |
20K08257
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
竹谷 健 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (30359880)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 低ホスファターゼ症 / メタボローム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
先天性骨系統疾患の多くは有効な治療法が存在しないか、酵素補充療法などの薬剤が存在しても、効果が限定的で生涯を通じて治療を継続する必要があるため、 薬の副作用や高額な医療費・福祉費などの問題点が存在するため、根治療法の確立が不可欠である。本研究では、骨・軟骨を再生する間葉系幹細胞(MSC)の stemness(自己増殖能と分化能)に影響を及ぼす代謝経路を明らかにすることによって、stemnessの高いMSCを作成する方法を確立すること、先天性骨系統疾患 の stemnessが低下したMSCの代謝経路を修復することで骨再生を回復させることを目的としている。本研究成果によりMSCのstemnessに必要な代謝産物が同定することにより、先天性骨系統疾患に対するMSC移植の有効性を明らかにすることである。 1. MSCに対するメタボローム解析 stemnessを高、中、低の3群に分けたMSCを用いたところ、ある特定のアミノ酸がstemnessの維持に必要な可能性が示唆された。現在、その効果を実証するために、機能解析をおこなっている。 2. 先天性骨系統疾患に対するメタボローム解析 先天性骨系統疾患の1つである低ホスファターゼ症(HPP)および正常健康人それぞれ3例ずつのMSC、shRNAを用いてALPをノックダウンしたMSCを用いた結果、タウリンがHPP由来MSCで優位に低下していることが明らかとなった。タウリンを用いて、正常MSCへの影響を検討したところ、stemness、増殖、分化能すべてにおいて、additiveな効果を発揮することを証明した。また、HPP由来MSCにタウリンを添加したところ、有意差はなかったが、増殖能が上昇した。しかし、分化能には影響がなかった。
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