2022 Fiscal Year Annual Research Report
濾紙血中のSMNタンパク測定による脊髄性筋萎縮症の新生児スクリーニング
Project/Area Number |
20K08259
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中村 公俊 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (30336234)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 新生児スクリーニング / SMN蛋白 / qPCR |
Outline of Annual Research Achievements |
脊髄性筋萎縮症(SMA)は、脊髄の前角細胞の変性による筋萎縮と進行性筋力低下を呈する疾患であり、体幹、四肢の近位部優位の筋力低下、筋萎縮を示す。発症年齢、臨床経過に基づき、I型、II型、III型、IV型に分類され、I、II型の95%にSMN1遺伝子欠失を認める。重症例は人工呼吸管理を行わなければ1歳までに死に至る。最近、アンチセンスオリゴ核酸薬による治療が可能となり、発症の早期から治療を行うことで筋症状の改善が認められるようになった。さらに、遺伝子治療薬の開発も進んでいる。生後早期にこれらの治療をおこなうと、歩行が可能なまでに発達できることが分かってきた。このSMAでは、qPCR法を用いた新生児スクリーニング法が開発されているが、遺伝子診断を用いたスクリーニングであるため、倫理的な課題は多く、産科施設で説明をおこなってスクリーニングをおこなうには解決すべき点が多い。われわれは、新生児スクリーニング用の濾紙血を用いて、SMN蛋白を測定する方法を開発した(特許出願準備中)。本研究では、従来のqPCR法によって生じる遺伝子解析による偶発的所見や病型診断といった倫理的な課題を解決することを試みた。そして濾紙血検体を用いたSMN蛋白測定による新生児期のSMAのスクリーニングを実施した。この検査によって、実際に新生児スクリーニングにおいてSMA患者を発見し、早期治療として遺伝子治療を行うことができた。本研究によって本症の早期診断と新生児期のスクリーニングを可能にし、適切な治療時期の検討を行うことで、SMAの早期診断と治療の意義を明らかにすることができた。
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Research Products
(6 results)