2020 Fiscal Year Research-status Report
エリスロポエチンの腎線維化と間質浸潤マクロファージに及ぼす影響の検討
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20K08263
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
西田 眞佐志 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員教授 (50275202)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 腎線維化 / エリスロポエチン / 片側尿管結紮 / M1マクロファージ / M2マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス片側尿管結紮(UUO)モデルを用い、UUO後期(day 7-13)にリコンビナント・ヒト・エリスロポエチン(Epo)1000 U/kgの連日腹腔内投与を行ったところ、UUO day14においてEpo投与群ではコントロール群(生食投与群)と比べ腎組織マッソン染色および腎組織抽出液中hydroxyproline定量による腎線維化の評価において、有意な腎線維化の軽減を認めた。また同時にEpo投与群では腎組織より抽出したtotal RNAを用いたRT-PCR法による腎組織中1型collagen mRNA発現の低下、腎組織免疫染色およびウエスタンブロット法による間質浸潤F4/80陽性マクロファージ数の減少、CD86陽性M1マクロファージ数の減少、およびCD206陽性M2マクロファージ数の増加を認めた。 Epoが貧血改善と独立した腎保護作用を有し、動物実験で腎線維化抑制作用を有することが報告されているが、今回の結果よりEpoは腎線維化出現以降のUUO後期からの投与でも腎線維化の進展抑制および軽減作用を有する可能性が示唆され、腎線維化治療に対する臨床応用を念頭に置いた場合、極めて重要な知見と考えられる。さらに腎線維化の進展における間質浸潤マクロファージの重要性が報告されているが、Epo投与により間質浸潤マクロファージのpopulationに変化が生じ、抗炎症・組織修復に作用するとされるM2マクロファージのpopulationの増加がみられたことは、Epoが間質浸潤マクロファージを介した機序により腎線維化の修復を促進させる可能性のあることを示唆する興味深い知見である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Epoの腎線維化および間質浸潤マクロファージに及ぼす影響につき、UUOを用いた腎線維化モデルにおいてUUO後期におけるEpoの投与で興味深い知見が得られた。今後、Epoのマクロファージを介する腎線維化抑制作用について研究を進める端緒となる知見である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要にて述べたUUOモデルにおけるEpo投与の腎線維化および間質浸潤マクロファージに対する影響の機序につき検討を進める。具体的には、Epo投与の赤血球数などの全身的な影響の検討、腎組織中のTGF-beta、Nrf2などの腎線維化関連分子発現についての検討、腎組織よりの単離マクロファージを用いたEpoのマクロファージに及ぼす影響のin vitroでの検討などを進めていく予定である。
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