2021 Fiscal Year Research-status Report
Exploring novel proangiogenic factors of pulmonary artery using a LacZ reporter mouse for pulmonary artery smooth muscle
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20K08267
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
内田 敬子 慶應義塾大学, 保健管理センター(日吉), 准教授 (50286522)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肺動脈発生 / 平滑筋 / 遺伝子改変マウス / 先天性心疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
小児循環器の医療現場で遭遇するチアノーゼ性心疾患にはしばしば肺動脈低形成が合併する。肺動脈低形成には有効な治療法がないために手術適応をも左右する予後不良因子となる。肺動脈の中膜を形成する肺動脈平滑筋は体血管平滑筋と比べて低酸素反応性を始め特徴的な機能を有するが、肺動脈平滑筋の発生機序の詳細は不明な点が多い。本研究の目的は、肺内で肺動脈平滑筋を特異的に標識するIP3R2-LacZマウスを用いて肺動脈平滑筋の発生機序を解明し新規肺動脈成長因子の探索を介して肺動脈低形成の治療法につながる基礎的知見を得ることである。 令和2年度に確立した肺器官培養系を用い、肺動脈平滑筋の細胞系譜の一つと考えられる肺間葉系細胞に発現する因子をアンチセンスオリゴヌクレオチド(AS)を投与することでその遺伝子翻訳を部分的に抑制し、ASの肺動脈発生への効果をwhole-mount LacZ染色や作製した切片の肺動脈マーカーに対する免疫組織化学法により評価することを試みた。胎生11日のマウス肺を2-3日間培養したのち肺器官培養組織のウエスタンブロットにより肺間葉系細胞に発現する因子の翻訳が約4割抑制されることを確認した。さらに、この肺間葉系因子の抑制により肺気道上皮の分岐が有意に抑制され、肺血管内皮細胞の分子マーカーの一部の発現が特異的に低下するという結果を得た。肺間葉系因子の下流候補因子を含む数種の細胞外分泌因子を培地に添加することで、肺血管内皮細胞マーカーの発現低下に対し、それを回復させる因子の探索を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者が所属する研究機関内の動物飼育室の改修工事のため遺伝子改変マウスの飼育可能な匹数が制限されたこと、新型コロナウィルス感染症の蔓延により、必要な研究資材の入荷の遅れがしばしば生じ、本研究の実施に遅れを生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
動物飼育室の改修は予定通りに進み、令和4年度にはマウス飼育数は回復する予定である。肺器官培養系はさらに安定し、肺血管の評価方法は肺器官培養を行った肺組織のパラフィンまたは凍結切片を作製し染色することで確立を試みる。肺動脈成長因子の候補因子となる細胞外分泌因子を培地に投与し肺血管を評価する網羅的解析をさらにすすめる。肺動脈低形成モデルマウスと肺動脈標識マウスであるIP3R2-LacZマウスを交配したマウスを用いて肺動脈成長因子の候補因子の効果を個体レベルで評価する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症対策のため、また地震による交通機関障害のために現地参加できずオンラインで参加したため旅費が不要となった。動物飼育室の工事のため飼育可能匹数の制限を受けた。次年度は現地参加が再開する予定であること、動物飼育室工事終了の予定であることから、旅費と動物実験関連消耗品が必要となる。
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