2020 Fiscal Year Research-status Report
Defects in histone modification cause phenotypic diversity of congenital malformations
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20K08270
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Research Institution | Kanagawa Children's Medical Center (Clinical Research Institute) |
Principal Investigator |
黒澤 健司 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 部門長 (20277031)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エピゲノム / ヒストン / トランスクリプトーム / KAT6B / エクソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
先天的なエピゲノム修飾異常症の一つに分類されるヒストン修飾酵素異常症を取り上げ、エピゲノム修飾の状態と症状の相関を明らかにし、得られた知見を病態解明に生かし、長期的には治療戦略へつなげることを目的としている。ゲノム解析に加えトランスクリプトーム解析も用い、その質的解析へ内容を深めて行く。対象は、知的障害および先天性の多発形態異常を身体特徴とする症例で、臨床症状の組み合わせおよび通常の診療で行われる生化学的検査及び染色体検査からは、特定の診断確定に至らない症例であった。次世代シーケンサーによる疾患原因遺伝子変異スクリーニングは、メンデル遺伝病パネル解析および全エクソーム解析を併用した。解析パイプラインは、GATK、BWA、snpEffを主軸として、病原性予測としてCADD、PolyPhen-2、SIFT、PROVEANを用い、参照データベースとしてgnomAD、jMorp、HGVD、ClinVar、HGMDなどを用いた。今年度は、網羅的ゲノムスクリーニングにより、Say-Barber-Biesecker-Young-Simpson症候群(SBBYSS)の1例に、これまで報告のない新規のヒストンmethyltransferase KAT6B変異を通常とは異なるドメインに検出した。顔貌も含め実際の臨床像も典型的SBBYSSとは異なっていた。変異の位置により変異KAT6Bが、ハプロ不全ないしは機能喪失として疾患発症に結び付くことのほかに、優性阻害効果として発症に影響を及ぼす可能性が考えられた。ヒストン修飾異常症が同一遺伝子でありながら全く異なった臨床像を呈することはしばしば報告されているが、KAT6Bでも同様メカニズムが発症に関与している可能性が考えられた。KAT6Bの変異による総合的な発現調節異常を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで報告のない新規の変異によるヒストン修飾異常症の検出など、新しい疾患発症メカニズムの解明につながる知見が複数得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
診断が得られていない先天異常に潜在する先天性のヒストン修飾異常のスクリーニングを進め、発症メカニズムの全貌把握に努める予定である。トランスクリプトーム解析を併用し、ゲノム解析で得られた変異を原因とする疾患において、その遺伝子変異が他の遺伝子発現にどのような影響を及ぼしているか解析を進める予定である。
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Causes of Carryover |
既存解析資材と既存解析試料で当該年度解析が進めることができたため、次年度使用額が生じたが、対象計画におけるRNAseqなどの総量としての解析には変更ないので、次年度以降に解析を行うこととなった。
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Research Products
(6 results)