2023 Fiscal Year Research-status Report
表皮型脂肪酸結合タンパク質と長鎖脂肪酸による腸内細菌選別機構
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20K08274
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
鈴木 良地 秋田大学, 医学系研究科, 准教授 (20396550)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | パイエル板 / 脂肪酸結合タンパク質 / 脂肪酸 / 腸管免疫粘膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究{(鈴木、2009)、基盤研究(C):22590186, 17K09368}で明らかにした表皮型脂肪酸結合タンパク質(Epidermal Fatty Acid Binding Protein: EFABP)のパイエル板での発現局在から腸管粘膜免疫の抗原認識とEFABPとの関係が示唆された。 EFABPを発現するM細胞と接するfibroblast reticular cellに発現するS100タンパク質免疫陽性反応が上皮内に観察される。 EFABP、S100タンパク質を強制発現したマウス腸管上皮由来のcolon26細胞を共培養すると両者の接触面でEFABP発現側にS100タンパク質の取り込み像が見られた。In vivoではS100タンパク質発現細胞により上皮と上皮下が境界されるので、上記によりM細胞と樹状細胞が接近することで粘膜下への抗原提示の効率を亢進することが考えられた。 また、胚中心マクロファージは最も強くEFABP発現する。RAW264.7細胞へのEFABP強制発現系で①PSの細胞外局在をロックするAnnexinV分泌亢進、②PS受容体である、Gas6-Axl複合体を形成するAxlの発現量とその局在を制御することで貪食を亢進することが示せた。EFABP配列自体は特定の細胞内コンパートメントに親和性を持たないが、共役タンパク質の検索で同定できたGalectin4はapical側にsortされるタンパク質であり、EFABPの強制発現でAxl局在が細胞膜に偏る所見との関係が予想された。GFP単独、EFABPあるいは脂肪酸結合ドメイン変異EFABPとのGFP融合タンパク質を発現させ、抗GFP抗体による免疫沈降を行うとEFABP発現で共沈するGalectin4シグナルが増強し、脂肪酸結合ドメイン変異導入で減少することが見いだされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
EFABP-GFP融合タンパク質の免疫沈降で共沈するGalectin4のシグナル強度が不安定でEFABPが関係した機能タンパク質の局在をうまく説明できる所見の再現性に問題が生じた。また、M細胞とfibroblast reticular cellの相互作用のモデルとして導入したcolon26細胞を用いたEFABP発現細胞とS100タンパク質発現細胞の接触面でEFABP発現側にS100タンパク質が取り込まれる所見自体は確かであるが、観察頻度が低く、論文として発表するのには足りないと思われた。他の培養系での再検討を試みていたところに申請者のコロナ感染により実験継続に支障が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
抗GFP抗体を用いた免疫沈降で細胞懸濁液の濃度を調整し、また、免疫沈降磁気ビーズの撹拌をより均一なものにするためにテーブルトップ型の撹拌機を私費で購入し、再度実験する。colon26細胞を用いたEFABP発現細胞とS100タンパク質発現細胞の接触面でEFABP発現側にS100タンパク質が取り込まれる所見自体は確かであるが、観察頻度が低く、論文として発表するのには足りないと思われた。Caco2細胞にEFABPを発現させ、S100タンパク質をNIH3T3細胞に発現させた共培養系で再検討中である。
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Causes of Carryover |
実験結果が思わしくなく、追加実験が必要になったため。 繰り越した予算は追加実験に必要なマウス、抗体、試薬の購入費にあてる。
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