2021 Fiscal Year Research-status Report
肥満に関連した大腸発癌における分子異常とDNAメチル化の解明
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20K08284
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
久保田 全哉 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (90542407)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白上 洋平 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (50632816)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 大腸癌 / 肥満 / 糖尿病 / DNAメチル化 / 大腸癌予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸癌は肥満や糖尿病に伴う病態によってそのリスクが増大することが知られている。申請者らの研究グループでは、肥満・2型糖尿病を呈するdb/dbマウスと、APCヘテロ変異を有し家族性大腸腺腫症のモデルとして知られるMin/+マウスを交配し、新規の肥満関連大腸発癌モデルである「db/db-Min/+マウス」を作製した。このマウスの解析によって、肥満・糖尿病に伴う分子異常と大腸発癌に関連する遺伝子異常の相互作用を検証する。 本研究の目的は、遺伝子変異と肥満に起因する大腸発癌において重要となる遺伝子やタンパク質、DNAメチル化の異常を同定し、大腸発癌抑制のための新規標的分子を解明することにある。本研究結果は、大腸発癌リスクの高い糖尿病や肥満を基礎疾患とした患者における、大腸腺腫・大腸癌の早期発見や予後改善につながる。また、本モデルマウスを使用し、大腸発癌を抑制する様々な候補薬の効果を検証し、実践的な臨床応用を目指す。 本年度は、レプチン受容体のヘテロ変異もしくはホモ変異を持つ遺伝子改変マウスとAPC遺伝子変異(Min/+)マウスとの交配で得られたマウスにおいて、自然発生する腸管腫瘍について解析をすすめている。しかし、目的の遺伝子変異を有するマウスが非常に少なく、比較検討にはさらに時間を要する。 同時にすすめている、肥満糖尿病を呈するマウスを用いた大腸を含めた種々の臓器におけるメチル化についての解析では、大腸や胆嚢を含めたいくつかの臓器において肥満糖尿病マウスでのDNAメチル化率が高いという結果が得られた。さらに、様々なヒト癌細胞株を用いた実験において、メチル化阻害剤を含めたエピゲノム薬による細胞増殖抑制効果が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究に用いる遺伝子改変マウスを交配により順次作製し、変異遺伝子と発生する腸管腫瘍の関連について解析を進めている。また、マウス臓器におけるDNAメチル化評価のための実験、およびメチル化阻害剤を用いる細胞実験を行い、実験系と評価系を確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
db/db-Min/+マウスの大腸粘膜における遺伝子発現の変化やタンパク質の相互作用、細胞内シグナルの変化について経時的な解析を行い、大腸発癌を制御する遺伝子、タンパク質等の異常を同定する。その中で、レプチン受容体ヘテロ変異もしくはホモ変異を持つマウスとAPC遺伝子変異(Min/+)マウスとの交配で得られたマウスについて、大腸発癌モデルにおける腫瘍および非腫瘍組織の解析と比較検討を行い、大腸発癌を促進または抑制に関与する遺伝子を探索する。また、上記マウスの大腸粘膜および腫瘍組織は、DNAメチル化の網羅的解析のためにも用いる。
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Causes of Carryover |
来年度は最終年度であり、更なる詳細な実験を計画しており、令和3年度以上に費用が必要となると考えられ、次年度への繰り越しが生じた。支出用途としては実験器具、試薬の購入費用、また成果発表のための学会参加費、旅費などを検討している。
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Research Products
(6 results)