2022 Fiscal Year Research-status Report
ガス分子薬開発に向けたヘムオキシゲナーゼ/一酸化炭素による腸内環境調整作用の解明
Project/Area Number |
20K08292
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
高木 智久 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70405257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 裕二 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00305575)
内山 和彦 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50298428)
堅田 和弘 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60593910)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 一酸化炭 / Heme oxygenase-1 / Bach1 / 腸内細菌叢 / 皮膚潰瘍 / 大腸潰瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
Bach1欠損マウス(Heme Oxygenase-1(HO-1)高発現マウス)では、デキストラン硫酸(DSS)惹起性腸炎が野生型マウスに比較して抑制されることをもとに、糞便移植やco-housingによりBach1欠損マウス(HO-1高発現マウス)の腸内環境を移植された野生型マウスにおいてもDSS惹起性腸炎が抑制されること、HO-1高発現環境下で優位性を示す腸内細菌の一つとして同定されたParaprevotella claraの投与により腸炎が抑制されること、を明らかにした。 Paraprevotella claraについては酪酸をはじめとした短鎖脂肪酸生成能を有することを確認しており、また、Bach1欠損マウス(HO-1高発現マウス)の糞便中有機酸解析においても短鎖脂肪酸が維持されていることを確認し、Paraprevotella claraは抗炎症性細菌として有望な候補菌であると考えられた。 一方、マウス皮膚潰瘍モデルを用いたCO投与による皮膚潰瘍の修復促進効果についても検討を行い、潰瘍部肉芽組織におけるVEGF産生亢進を介した血管新生により、潰瘍治癒促進作用を明らかにし、この研究成果については英文誌報告を行った。 また、ラット大腸潰瘍モデルを用いたCO溶解液の注腸投与による大腸潰瘍治癒促進作用についても同様の血管新生を介した修復機構が存在すること、COの大腸潰瘍治癒促進作用が既存薬剤(5-アミノサリチル酸、ステロイド)の効果を凌駕するものであることを明らかにした。CO溶解液の注腸投与によるCO挙動・毒性発現についても検証を行い、CO注腸後速やかに(5分程度)で大腸組織内CO濃度がピークを迎えること、CO-Hb濃度は30分程度でピークを迎えるものの、最大CO-Hb濃度は約2.2%にとどまり、中毒CO-Hb濃度に至らないことを確認した。製剤安定性についても確認を行っており、安定性試験(40℃、6ヶ月の加速試験)において、想定規格(CO濃度変化±5%以内)内の安定性が確認され、新規不純物も検出されないことを確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定の研究計画では、本年度に研究結果の再現性を確認する予定であったが、コロナ感染禍における研究進捗に若干の遅れを生じており、十分な再現性確認が出来ていない課題が残っている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの結果を受けて研究を継続し、特にBach1欠損マウス(HO-1高発現マウス)の腸内環境アセスメントとして糞便中の有機酸解析データの再現性を確認し、英文報告を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定の研究計画では、本年度にこれまでの研究結果の再現性を確認する予定であったが、コロナ感染禍における研究試薬調達の遅滞や施設使用制限に伴う研究進捗に若干の遅れを生じることとなった。次年度に、当初予定のこれまでの研究結果の再現性確認を進捗させて本研究計画を完遂する予定である。
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Research Products
(1 results)