2020 Fiscal Year Research-status Report
肝癌のチロシンキナーゼ阻害薬に対する耐性獲得機序の解明と耐性克服薬の探索
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20K08293
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
小暮 高之 東北医科薬科大学, 医学部, 講師 (70400330)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 賢治 旭川医科大学, 大学病院, 助教 (00736332)
嘉数 英二 東北大学, 大学病院, 助教 (20509377)
佐藤 麻理 東北医科薬科大学, 医学部, 助教 (20846018)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肝細胞癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞実験・動物実験で腫瘍縮小効果を示すチロシンキナーゼ阻害薬の実臨床の肝癌治療における腫瘍縮小効果は乏しく、耐性を生じていると推測される。血管新生阻害作用を有するチロシンキナーゼ阻害薬は腫瘍微小環境に著しい低酸素状態をもたらし、化学療法耐性の主な原因と推測される。本研究では、肝癌のチロシンキナーゼ阻害薬耐性獲得の過程で起こる腫瘍微小環境の変化について、腫瘍細胞および間質細胞の分泌する微小顆粒エキソソームの観点から解析する。エキソソームで細胞間を輸送される機能性RNAを同定し、その阻害剤(antisense RNA, siRNA)の抗腫瘍効果を明らかにし、臨床応用をめざす基盤を確立することを目的とする。
肝細胞癌患者に化学療法の一次治療としてソラフェニブが投与され、奏効せずに二次治療を予定して腫瘍生検を行った患者4例について腫瘍組織の低酸素誘導の有無を検討した。針生検の腫瘍組織を免疫組織化学によりHIF1-alphaの蛋白発現を検出し、定量PCRでHIF 1-alpha mRNAの発現を測定し、背景肝の発現と比較した。同様に化学療法ナイーブの患者5例についての腫瘍生検を試料としてHIF1-alphaの蛋白発現・HIF1-alpha mRNAの発現を検討した。ソラフェニブ投与後の患者の腫瘍組織においては背景肝と比較してHIF1-alphaの発現の亢進を認めたが、化学療法ナイーブの患者でも腫瘍組織で発現亢進が見られ、その程度についての有意な差は認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
培養細胞の検討で培養上清中のエキソソームから解析に十分な品質のRNAが回収できず、計画に遅延が生じている。COVID-19による診療などの負担増、実験の自粛が求められた時期があり、遅延が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
HIF1- alphaの腫瘍組織での発現がソラフェニブ投与後の患者と化学療法ナイーブの患者とで有意な差を認めなかったのは、腫瘍の進展度が異なる症例を比較していること、症例数が少ないことが原因と思われ、症例数を増加して検討を行う。同時に培養細胞の動物の実験を進める。
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Causes of Carryover |
培養細胞の検討で培養上清中のエキソソームから解析に十分な品質のRNAが回収できず、RNAの網羅的検討をまだ行っていないため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は令和3年度の助成金と合わせて、培養細胞の分泌するエキソソーム由来RNAを網羅的に検討する次世代シーケンスとlong non-coding RNAアレイの費用として使用する計画である。
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