2022 Fiscal Year Research-status Report
水分保持力を軸にしたムチン機能における腸内細菌叢由来代謝物の関連性
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20K08294
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
市川 尊文 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (30245378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川島 麗 北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (70392389)
河村 由紀 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 消化器病態生理研究室長 (10392391)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 腸内細菌叢 / NSAIDs / ヒスタミンH2受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ムチンの水分保持力は腸内細菌叢によって左右されると予想し、ムチン水分保持と腸内細菌との関係性を解明することを目的とする。 昨年度は腸内細菌叢解析において、IDM投与でErysipelotrichaceaeが増加し、Clostridialesが減少したが、H2RAを併用によりどちらも回復した。ムチン産生とシンクロが見られるNSAIDsによる消化管炎症では、腸内微生物の割合を変化させ、腸内環境の悪化を招くが、ムチン産生による保護を見込めるH2RAの補充により、粘膜バリアの強化を伴う腸内フローラの正常化を図ることが可能であると示唆された。 このことを受け、本年度は、糞便中の有機酸含有量(酢酸、プロピオン酸、n-酪酸、乳酸、コハク酸、ギ酸、n-吉草酸、イソ 吉草酸)を高速液体クロマトグラフィー (HPLC) を使用して測定した。酢酸含有量は、C 群で 3.82 mg、IDM 群で 1.82 mg、IDM + H2RA 群で 3.5 mg であった。 プロピオン酸含有量は、C 群で 0.54 mg、IDM 群で 0.42 mg、IDM + H2RA 群で 0.67 mg であった。 n-酪酸含量は、C 群で 1.07 mg、IDM 群で 0.13 mg、IDM + H2RA 群で 0.46 mg であった。 したがって、酢酸、プロピオン酸、および n-酪酸の糞便レベルは、IDM 投与で増加し、同時 H2RA 投与で減少した。 糞便中の乳酸値は、上記の有機酸と同様の傾向を示した。 コハク酸、ギ酸、n-吉草酸、イソ吉草酸は変動が見られなかった。以上、NSAIDによる胃腸炎では腸内環境が変化し、H2RAを併用することで腸内有機酸を介して正常化すると示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の当初の計画は、有機酸分析および防御系因子の解析の予定であったが、有機酸分析に用いた糞便の性状が最適ではなく、モデル動物を再作成したことによる時間的遅れが生じた。そのため、実験時間の確保に至らなかった防御系因子の解析を来年度にて実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
糞便中のムチン量、IgA値を測定し、結果いかんによっては、ピックアップされた増強有機酸を腸上皮細胞株あるいは分離性パネート細胞に添加し、培養上清中の抗菌ペプチド量を計測する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた防御系因子の解析に着手できなかったため、予定額を下回る執行額となった。来年度にて引き続き、解析実験を行う予定であるため、その際の試薬代およびモデル動物作成費に充当する予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Presentation] 腸炎におけるヒスタミンH2受容体拮抗による腸内フローラバランスの正常化2022
Author(s)
川島麗, 玉木竣, 前川達則, 川上文貴, 三澤乃々佳, 大久保裕可里, 植松檀, 矢持光理, 太田成海, 栗原誠, 市川尊文
Organizer
第95回日本生化学会
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