2020 Fiscal Year Research-status Report
PPI抵抗性逆流性食道炎を含めた逆流性食道炎発症に及ぼす唾液分泌の影響
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20K08297
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
岩切 勝彦 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (50221099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辰口 篤志 日本医科大学, 医学部, 講師 (10350125)
北迫 勇一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (30361702)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 難治性逆流性食道炎 / 重症逆流性食道炎 / 唾液分泌 / 唾液中EGF |
Outline of Annual Research Achievements |
流性食道炎の発症の原因は食道内の過剰な酸曝露である。食道酸クリアランスは食道蠕動波と唾液により行われる。重症逆流性食道炎患者では多くの患者が食道体部運動の障害を有するが、PPIが有効である患者と抵抗性の患者がいる。その原因として、唾液分泌の影響も考えられるが、逆流性食道炎患者における唾液分泌能の検討はほとんど行われていない。 標準量PPIを8週間内服しても食道粘膜傷害が得られなかったピロリ陰性のPPI抵抗性重症逆流性食道炎患者22例とPPI反応性重症逆流性食道炎患者22例に対して、無糖ガム3分間咀嚼後の刺激唾液分泌(分泌量、初期pH、酸負荷後のpH)、唾液中EGF、食道内圧検査による食道体部運動異常の有無を評価した。 食道体部運動異常の有無は両群に違いはなく、酸逆流後の酸クリアランスは両群に違いはないと考えられた。刺激唾液分泌に関しては、PPI抵抗群の唾液分泌量、唾液pHはPPI反応群に比し有意に低下していた。また、PPI抵抗群の酸負荷後の唾液pHはPPI反応群に比し有意に低下していた。以上より、PPI抵抗性重症逆流性食道炎では刺激唾液分泌能低下があり、食道内の過剰な酸曝露の原因である可能性がある。唾液中EGFに関しては、PPI抵抗性重症逆流性食道炎群の唾液中EGF濃度はPPI反応性逆流性食道炎群に比し有意に高値であった。PPI抵抗性群重症逆流性食道炎群での唾液中EGFが高値であることの解釈とその機序は今後の検討課題である。本研究の内容はEsophagusに掲載予定である。 現在、同様な方法を用いて、軽症逆流性食道炎の唾液分泌能に関する検討を開始している。軽症逆流性食道炎患者では健常者に比べ刺激唾液分泌能の低下がみられている。今後、症例を重ね検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
順調に倫理審査が終了し、また症例登録も順調であったため。
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Strategy for Future Research Activity |
PPI抵抗性重症逆流性食道炎患者の唾液分泌に関する検討は終了し、論文も採択された。今後は、軽症逆流性食道炎に対する唾液分泌、唾液EGFについての検討に加え、非びらん性逆流症(NERD)に対しての検討も進める予定である。症例登録者も確保できており、今後も順調に進むと思われる。
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Causes of Carryover |
参加予定の学会が延期あるいはオンライン開催となったため、予定していた旅費が発生しなかった。
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