2020 Fiscal Year Research-status Report
CDH17多型とそれに伴うスプライシング変異による短鎖タンパク質の機能解明
Project/Area Number |
20K08308
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
堺 明子 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (60205698)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 佐智夫 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (30335624)
笹井 香織 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (50722162) [Withdrawn]
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 膵がん / カドヘリン / スプライシング変異 / 微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
カドヘリン17(CDH17)は、常態では腸上皮特異的に発現する細胞接着性膜タンパク質であるが、膵がんや肝がんにおいて異所的な発現がみられる。さらに、病変部において本タンパク質は選択的スプライシングを受けて、フレームシフトによる短いタンパク質を発現する。細胞膜へのアンカーを失い、遊離状態となった短鎖CDH17は、細胞内外で正常とは異なるシグナル伝達を起こすと考えられる。 本年度は短鎖CDH17のシグナル経路の特定を目標として、内在性CDH17の発現を確認した。まずタグ付き組換えDNAを用いて細胞株における発現動態を調査したところ、短鎖CDH17の細胞内発現および培養上清への分泌、また2カ所の糖鎖修飾が確認できた。次に、膵がん細胞の内在性CDH17について調べたところ、AsPC-1、BxPC-3の2細胞株では全長CDH17が発現していたが、Panc-1では発現が見られなかった。また、標的となる短鎖CDH17については、いずれも発現がみられず、抗体が短鎖領域を認識しない可能性が考えられたため、短鎖エピトープをターゲットにした抗体を新たに設計・作製した。この抗体は期待通り、短鎖特異的な認識を示した。また、全長CDH17とはクロスしないことから、先の抗体と組み合わせることで、CDH17の全長および短鎖の発現状況が明らかになるメリットがあると判明した。 現在、抗体アレイのための試料作製に向けて、短鎖CDH17を含む条件培地を調製し、CDH17発現のないPanc-1、および膵臓の間質細胞である膵星細胞への影響を見ているところである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
目的とするがん特異的変異スプライシングによるCDH17短鎖タンパク質が、市販抗体では検出できなかったため、これを認識する抗体を新たに作製する必要が生じた。それに伴い、抗体アレイの受託解析のオーダーが遅れることとなった。また、研究分担者の異動があったことから、研究計画が滞りなく進捗するように全体の役割分担を見直し、調整した。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、抗体アレイを用いて、短鎖CDH17のシグナル経路に関与するタンパク質同定を試みる。候補タンパク質について、免疫沈降による相互作用および発現変化の検証・評価をおこない、特に細胞外における経路に着目して、がんにおける本タンパク質の役割を明らかにする。
|
Causes of Carryover |
抗体アレイ受託解析のオーダーが次年度に回り、その費用が繰り越しとなったため。引き続き同目的のために使用する予定である。
|