2023 Fiscal Year Research-status Report
HBV特異的CD8+T細胞におけるI型IFNシグナル抑制の意義とメカニズムの解析
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20K08313
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
五十川 正記 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 部長 (50723201)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | HBV / CD8+T細胞 / 免疫寛容 |
Outline of Annual Research Achievements |
B型肝炎ウイルス(HBV)持続感染患者の多くはB型慢性肝炎を発症し、肝硬変や肝細胞癌へと進行する危険にさらされている。HBV の排除には感染細胞を選択的に 破壊することの出来るHBV 特異的 CD8+T 細胞応答が必要である。しかしながら、HBV持続感染患者ではその機能性が顕著に低下しており、いわゆる「免疫寛容」 の状態にある。申請者らは、免疫寛容状態にあるHBV特異的T細胞内で特徴的に変動する遺伝子を網羅的に解析した。その結果、これまでに報告されている チェックポイント分子の上昇に加え、IFN誘導遺伝子群(ISGs: interferon stimulated genes)の減少が顕著に認められた。本研究の目的は、肝臓内で誘導される HBV特異的免疫寛容におけるIFN-Iシグナル抑制の意義とメカニズムを明らかにし、IFN-Iシグナル抑制を解除することにより、HBV特異的免疫寛容を克服することである。これまでに、肝臓内で強くI型IFN応答を誘導することで、HBV特異的CD8+T細胞応答の免疫寛容を克服できることを明らかにした。今年度はIFN-Iシグナルを欠損するHBV特異的CD8+T細胞がCD40刺激によって機能分化を果たすかどうか検討した。野生型HBV特異的CD8+T細胞をHBV-Tgマウスに養子移入し、アゴニストCD40抗体で刺激すると、機能性を獲得し、HBs抗原を抑制するが、IFN-I受容体を欠損するHBV特異的CD8+T細胞を養子移入し、同様にCD40抗体で刺激しても、機能性の獲得は認めなかった。以上の結果は HBV特異的免疫寛容克服におけるIFN-Iシグナルの重要性を、強く示唆すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス対策にも携わっているため、自由に使用できる研究時間が やや制限されている。また、研究者が異動になったため、新たな組織での研究セットアップが必要になっている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究から、肝臓内でのI型IFNの誘導が免疫寛容の克服に重要であることがわかった。これまでは詳細なメカニズム解析を行うため、HBV特異的TCRトランスジェニックをHBV-Tgマウスに養子移入するシステムを使用してきたが、今後は、よりB型慢性肝炎に近いモデルをもちいて、治療ワクチンの開発にI型IFNの誘導が重要であるかを検討する。
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Causes of Carryover |
接経費変更:令和2年12月9日、延長:2024年3月
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