2021 Fiscal Year Research-status Report
Impact of conophylline on the progression in NASH
Project/Area Number |
20K08317
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
中出 幸臣 愛知医科大学, 医学部, 教授 (70431400)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | NASH / コノフィリン / Amylin liver NASH model / 高脂肪食 / メタボローム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
Amylin liver NASH model(high fat (40%kcal), high fructose (22% by wt), and high cholesterol (2% by wt);HFHFHCD)を用いて、コノフィリ ン(CnP)が肝脂肪化、炎症および線維化を抑制するかを確認した。9週齢雌性C57BL/6マウスに対して、普通食(NC)あるいはHFHFHCDにCnP (1 μg/g)を混餌し摂取させた。NC群、NC + CnP群、HFHFHCD群、HFHFHCD + CnP群の4群にわけて、摂食開始より体重測定を行い経時的変化を観察した。HFHFHCD群はNC 群に比べ体重は増加し、一方HFHFHCD群とHFHFHCD + CnP群の間には体重増加に差がみられなかった。肝組織染色では、HFHFHCD群で著明な肝脂肪化、肝炎症細胞浸潤、肝線維化が観察された。一方HFHFHCD + CnP群においては肝脂肪化、肝炎症細胞浸潤、肝線維化のいずれも軽減していた。次に肝脂肪化に関わるメタボローム解析を行った。LC-MSにより分析を行い、質量分析データ解析ソフトを用いて網羅的に解析した。肝脂質は14グループ、23クラスに渡り検出され、最も多い順から中性脂肪(TG)、フォスファディルエタノールアミン(PE)、ジメチルフォスファディルエタノールアミン(dMePE)、セラミドフォスフェート(CerP)、フォスファディルコリン(PC)であった。NC群に比べHFHFHCD群で増加したものは、TG、PE、dMePEであった。一方HFHFHCD + CnP群はHFHFHCD群に比べTGは減少したが、PEおよびdMePEは増加した。PCに関しては3群間で顕著な変化はなかった。またHFHFHCD 群はNC群に比べPEが増加し、HFHFHCD群でPC/PEはやや低下し、HFHFHCD + CnP群においてPC/PEはさらに低下した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Amylin liver NASH model では肝脂肪化、肝炎症、肝線維化が誘導され、CnPを加えることでこれらが軽減したことが組織学的に確認された。現在までのところHFHFHCD群とHFHFHCD + CnP群の間に体重増加には差がみられないことが確認された。さらに肝脂質のメタボローム解析を施行し、肝TGは減少したが、PEおよびdMePEは増加したことが確認された。現在NC群、NC + CnP群、HFHFHCD群、HFHFHCD + CnP群の各群のマウス肝よりmRNAを抽 出しトランスクリプトーム解析にて発現変動している遺伝子をスクリーニングした上で遺伝 子プロファイリングを行い、各種遺伝子のパスウエイ解析の比較を行っている。さらにマウスの凍結肝組織からRNAを抽出しcDNAに逆転写させ、Whole mouse genome CGHマイクロア レイを用いて赤色蛍光色素(Cy3)で、それぞれのコントロールを緑色蛍光色素 (Cy5)で標識し、 両者をスライドグラス上のプローブをハイブリダイズさせ、蛍光シグナル強度を測定を行っている。次にAgilent Feature Extraction Software (FES)を用いてマイクロアレイイメージファイルを読み 出し、データ分析システムを用いて、各群における各遺伝子の信号強度を対照群との間で比率を算出し、MAPP Finderを用いて特定のpathwayに指定された範疇の遺伝子が偶 然より多く含まれているか評価した上で、各遺伝子発現値をPathwayマッピングし脂肪化、炎症および線維化に関連するシグナルに関してどのように変化しているか比較しているが、計画と比べやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はトランスクリプトームのデータ解析をすすめ、計画していたCnPのPPARA経路の関与を検討していく予定である。またin vitroの系においてCnPの肝脂肪化抑制はこれまでのpreliminaryに確認されているので、その機序に関して検討を行っていく。本年度はさらに研究を加速していくため、実験時間の確保さらには研究補助員の補充などを行い、スピードアップを図って行く予定である。そして肝脂肪化に関してCnPはPPARAの活性化;および肝におけるβ酸化を促進する可能性が見いだされていることから、PPARAノックアウトマウスに対してHFHFHCDを用 いてNASHを誘導し、CnPを投与することで肝脂肪化、炎症および線維化の改善が阻害されるか確認していく。
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Causes of Carryover |
本年度使用する予定の分子生物学的研究試薬の購入を行ったが、納品および請求の関係で次年度での会計にかわったために、次年度使用額が生じた。
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