2020 Fiscal Year Research-status Report
Acquired immunity and regulatory mechanism in non-H.pylori gastritis
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20K08323
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
成田 明子 東京大学, 医学部附属病院, 病院診療医(出向) (30772917)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早河 翼 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60777655)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 胃炎 / 胃癌 / B細胞 / 好中球 |
Outline of Annual Research Achievements |
IL1bマウスにおける上皮恒常性変化と炎症細胞粘膜浸潤に胃内細菌が関与している可能性を考え、無菌化(Germ free: GF)IL1bマウスを作成し、胃粘膜の解析を行った。FACS解析の結果、抗生剤投与時と同様に、GF-IL1bマウスではB細胞数がSPF環境に比べ増加していた一方で、CD11b+細胞は減少していた。また病理学的には、上皮の過形成・Metaplasia変化は、無菌化により抑制傾向が認められた。 胃粘膜内の血球分画の変化をより網羅的に解析するため、SPF・GF-IL1bマウスより胃内のCD45+血球細胞をSortし、scRNAseq解析を施行した。FACS・免疫染色で認められたように、GF-IL1bマウスではB細胞の増加およびCD11b細胞系の減少が認められたほか、Mast cellの減少なども認められた。CD11b陽性細胞・Mast cellではそれぞれIL23a/Tnf/IL1bなどのpro-inflammatoryなサイトカイン、IL13/IL4/IL6などの2型免疫系サイトカインが高発現しており、これらの分画の減少により上皮細胞増殖・化生性変化がGF環境で抑制されていると考えている。CD11b陽性細胞については特に好中球分画について、抗Gr-1抗体投与により特異的血球アブレーションを行ったところ、IL1bマウス胃粘膜の細胞増殖が抑制された。さらに抗Gr-1抗体投与マウスでは粘膜内B細胞数が増加しており、IL1bマウス胃粘膜に浸潤しているCD11b陽性細胞にはB細胞の増殖・誘導を抑制する働きがあると考えられる。B細胞が胃炎進展に及ぼす直接的な影響の有無については、今後B細胞アブレーション実験や欠損マウスを用いた検討により明らかにする予定とし、マウスの交配を開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
無菌化マウスを用いた検討は順調に推移している。 単一細胞解析により得られたデータの解析も順調である。 血球分画のアブレーションについては、実験に使用するマウスが得られ次第、順次進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
各血球細胞のアブレーション実験をすすめていく。樹状細胞欠損マウスとして、CD11c-Cre; LSL-DTAマウスとIL1β過剰発現マウスを交配させたマウスを用いる。B細胞欠損マウスとして、過去に報告されたJh-/-マウスを用いてIL1β過剰発現マウスと交配させるとともに、抗CD20抗体を用いたCD20陽性B細胞選択的アブレーションも試みる。IgA抗体の役割については、IgA-/-マウスとIL1β過剰発現マウスを交配させたマウスを用いる。①と同様にそれぞれのマウス群の胃炎~腸上皮化生~胃癌の発癌過程の進展度を比較するとともに、胃内免疫細胞のプロファイルをFACS/CyTOFあるいは免疫染色を用いて検討する。RNA解析を必要に応じて施行し、各免疫細胞群間における相互作用についても検討を加える。これにより各免疫細胞群が胃炎・胃癌の病態形成に果たす役割を明らかにする。さらに、各マウスの胃粘膜の16SrDNAシークエンスを行い通常のIL1β過剰発現マウスの胃内細菌叢と比較することで、各細胞群が胃内細菌叢に与える影響について解析する。
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