2020 Fiscal Year Research-status Report
ISXに着目した非H. pylori胃細菌叢除菌による胃発癌対策治療の確立
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20K08336
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
須江 聡一郎 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (00738619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 愼 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (40415956)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ISX / 胃細菌叢 / 除菌 / 胃炎 / 腸上皮化生 |
Outline of Annual Research Achievements |
Helicobacter pylori (H. pylori)除菌後の内視鏡的かつ組織学的胃炎症例の胃液サンプルを用いた胃細菌叢のメタ16S解析を実施した。全例でH. pylori除菌治療後の便H. pylori抗原の陰性を確認した。本研究は倫理委員会承認、文書での同意取得後に適切に行われた。胃液は上部消化管内視鏡検査時に内視鏡を用いて採取した。胃液細菌叢を構成する門での上位5はFirmicutes, Proteobacteria, Actinobacteria, Bacteroidetes, Fusobacteriaの順に多かった。属レベルでの上位15はStreptocuccus、Acinetobacter、Lactobacillus、Veillonella、Prevotella、Rothia、Actinobacillus、Actinomyces、Klebsiella、Fusobacterium、Haemophilus、Atopobium、Stenotrophomonas、Granulicatella、Leptotrichiaの順に多かった。Helicobacter属の細菌は検出されず、H. pylori除菌後で除菌成功していることが、メタ16S解析から確認された。2位のAcinetobacterは胃炎の原因である可能性が、3位のLactobacillusは炎症発がんとの関連、7位のActinobacillus、10位のFusobacteriumは炎症との関連が、10位のFusobacteriumと13位のStenotrophomonasは胃発がんでの免疫寛容への関与が既報に基づき考察された。ISXはH. pyloriによるNFκBシグナルにより活性化するため、以上の細菌叢でISX発現が惹起している可能性は高い。以上の胃細菌叢は胃細菌叢除菌のターゲット候補と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ターゲットとなる非H. pylori細菌叢候補を同定できたが、次のステップの研究を遂行する前に必要となる候補細菌のレビューや研究の実施に伴う倫理手続きが必要となるが、時間を要するため。
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Strategy for Future Research Activity |
今回検討した非H.pylori胃炎症例のISX発現に関しても病理学的に検討する。 Acinetobacterに関してはマウス感染モデルでH.pyloriを用いた場合と同様に組織学的胃炎と慢性炎症が確認されたことが報告されており(Zavros Y, et al: Infect Immun, 2002)、既報の胃細菌叢解析でもH. pylori除菌後の炎症との相関が報告されている(Sung J, et al: Gut. 2020)。 ヒトでのAcinetobacterなどのターゲットと設定した胃細菌叢に対する除菌治療の介入研究で、介入前後でのISX発現、胃炎・腸上皮化生の変化、胃細菌叢の変化を探索的に検討することで研究を推進する。 また並行して非H.pylori組織学的胃炎症例における胃細菌叢解析を継続し、治療介入すべき細菌叢が同定された場合の胃細菌叢除菌治療介入につなげていく。
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Causes of Carryover |
本年度で非H.pylori胃細菌叢除菌の介入研究の実施開始まで至らなかったため。
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