2022 Fiscal Year Annual Research Report
糖転移酵素による糖尿病合併癌の制御メカニズムの解明と治療戦略の構築
Project/Area Number |
20K08344
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Research Institution | Osaka Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
樋口 和秀 大阪医科薬科大学, 医学部, 名誉教授 (20218697)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝日 通雄 大阪医科薬科大学, 医学部, 教授 (10397614)
三善 英知 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (20322183)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 糖転移酵素 / 癌 / 糖尿病 / O-GlcNAc修飾 / コアフコース修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病で発現・活性が上昇する糖転移酵素であるN-アセチルグルコサミン(O-GlcNAc)転移酵素(OGT)とα1,6-フコース転移酵素(FUT8) の高発現マウス(Ogt-Tg, Fut8-Tg)を用いて実験を行った。まず、Ogt-Tgを用いて、癌周囲組織のO-GlcNAc修飾が転移へ与える影響について検討した。ルシフェラーゼ恒常発現癌細胞Panc2-T3Mをマウスに移植した後に、マウスの癌の増殖、転移を経時的に観察することにより転移の程度を比較した。その結果、Ogt-Tgマウスに移植したPanc2-T3Mの方が、肝臓、脾臓などの多臓器に転移しやすいことが分かった。癌周囲環境のO-GlcNAc修飾の亢進が、膵癌の周囲臓器への転移を促進している可能性が考えられた。次に、悪性黒色腫細胞株B16-BL6を用いて、Fut8-Tgへの癌移植実験を行った。Fut8-TgにB16-BL6を移植し、移植後6,10,12,14日の腫瘍サイズを測定し、野生型マウスと比較検討した。その結果、野生型マウスと比較して、FUT8-Tgにおいて、移植B16-BL6細胞による腫瘍が12日、14日後で有意に大きくなっていることが分かった。生体組織を用いたウェスタンブロット法による解析では、野生型マウスに比べて,FUT8-Tg由来組織では、明らかにコアフコース修飾が亢進していたため、癌微小環境におけるコアフコース修飾の亢進が、移植B16-BL6による腫瘍の増殖を促進したと考えられた。癌微小環境のコアフコース修飾が癌増殖を促進するメカニズムについて、癌免疫の低下の可能性を予測し、担癌FUT8-Tgから採取した免疫細胞や癌関連線維芽細胞(CAF)を培養し、野生型担癌マウスからの細胞と比較検討中であるが、示すことのできるデータはまだ得られていないため、メカニズム解析が完了したら、論文を投稿する予定である。
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