2020 Fiscal Year Research-status Report
Involvement of RIG-I-like receptors in the pathogenesis of NAFLD
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20K08349
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
川口 章吾 弘前大学, 医学研究科, 助教 (90455741)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | MDA5 / RIG-I / NAFLD / macrophage / CDAHFD |
Outline of Annual Research Achievements |
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は肝臓におけるメタボリック症候群の表現型とされ、罹患者数が増加している慢性肝疾患である。とくに非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)では肝硬変や肝細胞癌の発症が認められ、かつ、冠動脈疾患や脳血管疾患等の独立した危険因子であることが知られており、肝臓にとどまらず、全身諸臓器の障害を引き起こし生命予後を増悪させる可能性がある。そのため、NAFLDの病態解明と新たな治療標的の同定、治療法開発は解決すべき重要な課題である。 Retinoic acid-inducible gene-I(RIG-I)とMelanoma differentiation-associated protein 5(MDA5)はRIG-I様受容体(RIG-I-like receptors; RLRs)に属するRNA helicaseであり、主に抗ウイルス応答に関連した機能が報告されている。一方、この分子はSTAT1を介したTh1型免疫応答を増幅する機能があり、ウイルス感染のみならず、metabolic inflammationの病態にも関与している。我々もこれまで動脈硬化症との関連を報告している。NASHの進展には、Th1型免疫応答の分子機序が関与するため、RLRsが炎症病態の形成に関与している可能性が考えられるが、これまでのところRLRsとNAFLDとの関連については検証されていない。そのため、本研究ではRLRsがNAFLDの病態に関与しているか解明することを目的とした。今年度はコリン欠乏高脂肪食にて飼育したC57BL/6Jマウスの解析とヒト肝生検標本を用いた免疫染色によるRLRs発現の検討を行った。その結果、いずれの組織においても、CD11b陽性マクロファージにRIG-I、MDA5の発現が認められることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
C57BL/6Jマウスにおける食餌誘導性NASHモデルの作成は順調に進行した。コリン欠乏高脂肪食6週時点で肝を採取し、western blottingで両分子の発現を解析したところ、MDA5の有意な増加を認めた。RIG-Iも増加傾向であったが有意差は認められなかった。免疫組織学的検討では、NASHモデルの肝においてF4/80、CD11b陽性マクロファージに両分子の発現が認められた。この細胞はコリン欠乏高脂肪食1週の時点からすでに肝内への浸潤が認められ、MDA5を発現していた。また、NAFLDのヒト肝生検標本を用いた解析でも、CD11b陽性マクロファージにRIG-I、MDA5が高発現していた。これらの結果から、NAFLDでは肝に浸潤するマクロファージにRLRs発現が認められ、炎症を修飾している可能性が示唆された。以上より、初年度としては順調に進行していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
MDA5KOマウスの作成が当初の予定よりも遅くなり、それに伴いKOマウスにおける表現型解析が実施できていない。次年度以降、MDA5KOマウスにおけるNASH表現型、とくに肝脂肪化と炎症、線維化の組織学的評価を行う。同時に肝のサイトカイン発現と肝内浸潤リンパ球の解析を行い、wild typeと比較検討する予定である。当初肝細胞における発現を想定していたが、マクロファージが発現していたことが判明したため、今後腹腔マクロファージの解析を追加する予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた学会参加などの予定がCOVID19感染拡大の影響で無くなり、次年度使用額が生じた。次年度に使用する解析費用(抗体やELISAキットなど)の一部として使用する。
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