2021 Fiscal Year Research-status Report
Involvement of RIG-I-like receptors in the pathogenesis of NAFLD
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20K08349
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
川口 章吾 弘前大学, 医学研究科, 助教 (90455741)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | MDA5 / NAFLD / macrophage / CDAHFD |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の研究結果より、Melanoma differentiation-associated protein 5 (MDA5)がNASHの肝組織で高発現していることが判明した。さらに蛍光免疫染色による解析の結果、MDA5陽性細胞は肝実質細胞ではなく、単球由来マクロファージであることを見出し、これらを報告した。単球由来マクロファージはNASHの炎症病態の形成に関与する細胞であり、MDA5がNASHの炎症を修飾している可能性が示唆されたため、本年度はMDA5 knockout (KO)マウスを用いて、NASHの炎症が抑制されるか表現型解析を行った。7-8週齢のMDA5 wild type (WT)マウスとKOマウスのlittermateをコリン欠乏高脂肪食にて飼育しNASHを誘導した。体重の変化は3週時点で有意にKO群が低値であったが、6週時点ではWT群と同程度となった。そこで3週後と6週後に解剖し、肝臓を採取した。想定とは異なり、組織学的に脂肪化と炎症細胞浸潤の程度はWTとKOでいずれも同程度であり、予想していたKOマウスでの炎症改善は認められなかった。また、採取した肝臓からRNAを抽出し、サイトカイン発現を定量PCRで解析した。3週時点ではTNF-a、IL-6、IL-12 mRNA発現はKO群で有意に低下したが、6週時点では同程度となり、2群間での有意差は認められなくなった。また、線維化マーカーであるaSMAとCol1a1 mRNA発現も同様の傾向であり、むしろKO群では増悪する傾向が認められた。以上より、MDA5はNASH発症早期の炎症には影響を与えている可能性があるが、病態進展とともに肝保護的な作用を有する可能性があると考えられた。線維化の進行を比較するなど、本モデルにおいてはより長期的な経過を見る必要があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点ではKOの表現型解析まで終了し、概ね順調に進行している。しかし、MDA5 KOマウスにおいて、6週時点ではNASHの脂肪化、炎症の程度はWTと同程度であり、MDA5がどのような機能を有しているのか判定するためには、より長期の観察期間が必要と考えられた。当初想定していた観察期間よりも延長することとなり、そのために今後進捗状況が遅れる可能性があると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
コリン欠乏高脂肪食の期間を12週から16週まで延長し、炎症と線維化の評価を行っていく方針である。マクロファージ以外の細胞、とくに肝細胞に発現するMDA5がむしろ保護的に作用している可能性があり、今後、肝細胞での意義、とくに肝細胞における脂肪毒性を含めて明らかにしていく方針である。
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Causes of Carryover |
ノックアウトマウスの解析で、想定と異なり、有意な差が得られなかったため、有意差がでた時点で行う予定だった腸内細菌叢解析などの解析費用が残り、次年度使用額が生じた。次年度はさらに観察期間を延長して解析を行う予定であり、そのために必要な飼料の購入と解析を行うための費用、論文投稿用の費用として使用する。また、状況次第であるが学会発表の際の旅費に計上する予定である。
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Research Products
(3 results)