2020 Fiscal Year Research-status Report
亜鉛トランスポーターを介した代謝制御機構の解明に基づく大腸がん治療戦略の創出
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20K08354
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大橋 若奈 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 特任講師 (50381596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早川 芳弘 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 教授 (10541956)
井村 穣二 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (80316554)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 亜鉛トランスポーター / 大腸がん |
Outline of Annual Research Achievements |
亜鉛は生体における必須微量元素であり、亜鉛の欠乏や恒常性の破綻が起こると体内の様々な臓器の機能が障害される。種々の病態において亜鉛の分布や存在量の異常が認められ、病態形成やその進展における亜鉛の恒常性の破綻との関わりが示唆される。悪性腫瘍においてはがん種やその悪性化に伴い亜鉛の蓄積が亢進するものや、亜鉛の存在量の低下を示すものが知られている。本研究は、大腸がんにおける亜鉛恒常性破綻の関与を亜鉛恒常性の維持を担う亜鉛トランスポーターの視点から解明することを目的としている。 亜鉛トランスポーターは膜を介した亜鉛の輸送に関わるタンパク質であり、輸送の方向性により二つのファミリーに分類される。細胞質内へ亜鉛を輸送するZIPファミリーの一つZIP7を大腸がん細胞においてノックダウン法によりその発現量の低下を誘導すると、増殖能の低下を示し、腫瘍形成能も低下することが分かった。大腸がん細胞の増殖や腫瘍形成にはZIP7の発現が重要な役割を果たすことが示唆された。 大腸がん細胞株の多くはZIP7の発現を認めるが、さらにZIP7の発現が高まった際のがん細胞機能への影響を明らかとするためZIP7の過剰発現株の樹立を行ない解析を進めた所、ZIP7の発現の高まりによりがん細胞機能が変調することを示唆する結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
亜鉛トランスポーターZIP7を恒常的に高発現する大腸がん細胞株を樹立しがん細胞機能への影響を検証し、亢進または低下する機能と影響を受けない機能を見出しており概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
前述の通り、樹立した細胞株を用いた解析からZIP7の発現により影響を受ける機能の絞り込みを行なった。今後は機能の詳細の精査を進めると共にその変調を誘導する分子機構の解明に取り組む。
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Causes of Carryover |
実験動物を用いての検証が次年度へ繰越になったことから次年度使用額が生じているが、次年度に当初の予定の通りに使用予定である。
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