2022 Fiscal Year Research-status Report
アレルギー疾患におけるプロバイオティクス由来抗アレルギー物質による新規治療開発
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20K08372
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
嘉島 伸 旭川医科大学, 医学部, 助教 (10548655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤谷 幹浩 旭川医科大学, 医学部, 教授 (80322915)
澤田 康司 旭川医科大学, 医学部, 講師 (80548660)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | プロバイオティクス / アレルギー疾患 / 抗アレルギー物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
アトピー性皮膚炎,花粉症,気管支喘息や好酸球性消化管障害などのアレルギー性全身疾患は,近年増加の一途を辿っている.アレルギー疾患の発症には,遺伝的要因や環境要因など,様々な複合的因子により発症することが知られている.食生活の欧米化,抗菌薬の使用頻度増大により,腸内細菌叢に乱れが生じることで,アレルギー疾患が増えている一因となっている可能性がある.私は乳酸菌由来分子長鎖ポリリン酸が腸管炎症を制御し腸内環境を改善する作用を持つことを明らかにした.そこで本研究では,(1)アレルギー疾患モデルにおけるポリリン酸の抗アレルギー作用およびメカニズムの解析(2)乳酸菌,ビフィズス菌やバシラス菌などのプロバイオティクスが産生する新規の抗アレルギー物質を同定すること(3)アレルギー疾患モデルを用いた,菌由来の抗アレルギー物質の作用とその作用機序を明らかにすることを目的とする.プロバイオティクス由来の抗アレルギー物質を同定し,これらを利用した新規の抗アレルギー薬開発の基盤的成果を目指す. 本年度の検討では、Transwell上方に腸管上皮細胞株を播種し、その後ポリリン酸を投与し、回収したTranswell下方の培地を皮膚表皮細胞株に投与したところ、TNF及びIFN刺激で増加する、TARCの産生が低下することが明らかとなった。またマウスへポリリン酸を複数回経口投与した後に回収した血清を同様に、皮膚表皮細胞株へ投与したところ同様にTARC産生が低下していた。腸管上皮細胞へポリリン酸が作用し、何らかの抗アレルギー物質が産生され皮膚で起きているアレルギー反応を抑制する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞株やマウスモデルを用いた検討により、ポリリン酸の投与による、抗アレルギー作用が示唆された。また腸管上皮へのポリリン酸の作用により、抗アレルギー物質が産生され、それが血液を介して、遠隔臓器である皮膚へ作用する可能性あることが明らかとなった。今後は腸管上皮で産生される抗アレルギー物質の同定や、作用メカニズムを明らかにすることを予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
皮膚細胞株でのポリリン酸由来培地の作用メカニズムの解析をWestern-blot法を用いて進める。また培地中や血液中の抗アレルギー物質の同定に向けて、chemokine arrayなどを用いて解析を進める。
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Causes of Carryover |
使用物品の価格変化に伴う余剰分であり、翌年使用とする。
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