2022 Fiscal Year Annual Research Report
臓器透明化技術による肝内神経支配と慢性肝疾患病態形成機序の解明
Project/Area Number |
20K08373
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
水野 恵 山形大学, 医学部, 客員研究員 (00715394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芳賀 弘明 山形大学, 医学部, 准教授 (70466613)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肝内神経線維 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、肝内神経線維が肝疾患の進行および回復によりどのように変化するのかを明らかにすることを目的としている。 まず、ヒトの肝生検標本において神経線維を免疫組織化学染色にて同定し、慢性肝炎と正常肝、線維化進展群と非進展群、炎症が高度の群と軽度の群で門脈域の神経線維量を比較した。慢性肝炎では正常肝よりも神経線維が有意に減少し、線維化進展群で非進展群よりも有意な減少を認めたが、炎症の程度では有意な差は認めなかった。また、慢性肝炎の回復期での変化を検討するために、HCVに対する抗ウイルス治療の前後で肝生検を行った症例についても検討したところ、治療後には神経線維量が回復傾向にあることが明らかとなった。 次に、マウス肝の一つの葉全体を解析することで、肝生検で問題となるサンプリングエラーの可能性を除去して評価することを試みた。四塩化炭素の腹腔内投与による肝硬変モデルマウスと、高脂肪食投与によるNASHモデルマウスを作成し、摘出したマウス肝の透明化および神経線維の免疫組織化学染色を行った。CUBIC法にて正常肝の透明化は成功したものの、硬変肝や脂肪肝では透明化が困難であった。CLARITY法で硬変肝の透明化は可能であったが組織障害が高度であり、神経線維の同定および評価には至らなかった。正常肝をCUBIC法で透明化したものに免疫組織化学染色を行い神経線維の同定を試みたところ、薄切標本では同定可能であったが、一定以上の厚みのものでは抗体が深部に浸透せず、神経線維の同定は困難であった。 現時点で組織透明化技術を硬変肝や高度脂肪肝の評価に活用するには至らなかったが、肝疾患における神経線維の変化の一端を解明することができた。
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