2020 Fiscal Year Research-status Report
難治胆管癌の克服に向けた脂質代謝を標的とする新規治療法の開発
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20K08376
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山田 友春 東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (60868024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 勇人 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00555609)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 胆管癌 / 脂質生合成 / オルガノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト胆管癌ではRas・TGFβシグナルに加えてPI3Kシグナルの異常も高頻度に認められる。そこで胆管上皮特異的PTEN欠損/TGFβR2欠損マウス(PTENF/F;Tgfbr2F/F;CK19-CreERT:PT-K19CreERTマウス)を作製することによって、新たな肝外胆管癌マウスモデルを樹立した。発癌機序解明のためPT-K19CreERTマウスの腫瘍組織を用いてトランスクリプトーム解析を行ったところ、SREBP経路を中心とした脂質生合成経路が有意に活性化していた。そこでPT-K19CreERTマウスにSREBP活性化に必須の分子SCAPのFloxマウスを交配させ(PTS-K19CreERT)、胆管癌でSCAP/SREBP経路を阻害したところ、ほぼ完全に胆管癌の発症を抑制できることがわかった。この現象はもう一つの胆管癌マウスモデルである胆管上皮特異的PTEN欠損/Kras活性化マウス(PTENF/F;LSL-KrasG12D;CK19-CreERT:KP-K19CreERTマウス)でも同様であった。さらにPTENF/F;Tgfbr2F/Fマウスから胆管オルガノイドを培養し、Cre発現レンチウイルスを用いて遺伝子改変を誘導したオルガノイド(PTオルガノイド)を作製したところ、同オルガノイドでは細胞増殖が有意に増加し、さらにその増殖はSCAP阻害剤を投与することによって抑制された。PTENF/F;Tgfbr2F/F;ScapF/Fマウスからも胆管オルガノイドを培養し、同様の手法で遺伝子改変を誘導したところ(PTSオルガノイド)、PTSオルガノイドは非常に増殖が遅くなることがわかった。さらにPTオルガノイドとPTSオルガノイドのRNA-seqを行い、その結果を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PTENF/F;Tgfbr2F/FマウスとPTENF/F;Tgfbr2F/F;ScapF/Fマウスからそれぞれ胆管オルガノイドを培養し、Cre発現レンチウイルスを用いた遺伝子改変誘導に成功。さらにそのフェノタイプの違いの解析や発現プロファイルの解析まで遂行することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
PTオルガノイドとPTSオルガノイドのRNA-seqの結果から、SCAP欠損による胆管癌発生抑制メカニズムの解明を目指す。さらに現在、SCAP欠損による胆管がん抑制効果が、SREBP機能不全によるものであることを検証するため、PTSオルガノイドに活性型SREBPを導入し、そのフェノタイプがレスキュー出来るかについても検討中である。
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