2021 Fiscal Year Research-status Report
時空間的解析による胃化生粘膜発生機序の解明と胃粘膜再生療法の開発
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20K08377
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平田 喜裕 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (10529192)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 化生 / 粘膜再生 / 炎症 / 胃癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度はインターロイキン33(IL-33)の誘導性発現マウス系統を樹立しKRT19-creERTマウスと交配させタモキシフェンの投与による遺伝子組み換えを誘導し、胃組織の免疫染色により腺窩上皮にIL-33の発現を確認した。タモキシフェン投与1w後に胃体部の腺峡部付近にGSII陽性となる化生粘膜を生じ、4w後にはほぼ正常に回復していた。さらに1w後の胃粘膜の腺底部と粘膜下層にCD45、CD11b陽性の炎症細胞が浸潤し、また上皮細胞とくにGSII陽性細胞でSox9の発現が増加していたが、これらはすべて4w後に消失した。本モデルは誘導性、一過性に炎症細胞浸潤と化生粘膜を生じる急性モデルとなると考えられる。 令和3年度は、慢性的な化生粘膜作成を目指し、恒常的なIL-33発現モデルの樹立を行った。CRISPR-CAS9システムを用いてTFF1プロモーター下に直接IL33を発現させるノックインマウスを作成した。得られたマウス二系統においてKRT19-creERT;LSL-IL33マウスと同様に化生と炎症細胞浸潤を伴う胃炎発生系統となることが確認された。また炎症細胞浸潤、化生粘膜ともに24wまで経時的に増加していた。すなわち化生粘膜を慢性的に発生させるモデルの作成に成功した。またこれらの胃粘膜のRNAを用いて網羅的発現解析を行い、IL33発現粘膜でMuc6, TFF2, CD44, Sox9など化生変化のmRNA発現上昇、GO解析ではimmune system, cell surface, cell activation などの遺伝子セットの有意な上昇が見られた。またSox9を胃で欠損させるモデルを用いて化生発生について検討したところ、体部の化生は見られなかったが、前庭部に炎症を伴う化生、上皮の過形成がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IL33発現マウスモデルを複数作成し、いずれでも化生粘膜の発生を認め、このサイトカインが化生粘膜発生に重要な役割を果たしていることを確認し、また網羅的遺伝子発現解析で表現型に関連する複数の遺伝子セットの発現変動を明らかにした。Sox9についてはIL33依存性の化生発生には関連しておらず、逆に前庭部特異的な恒常性維持機構に重要である可能性が考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
IL-33発現胃粘膜の発現変動より化生治療標的分子を探索し、低分子化合物もしくは抗体投与による治療効果を検討する。経時的にSox9ノックアウトマウスの解析を加える。これらの異なるモデルにおける炎症細胞浸潤の特徴をFCM、免疫染色で解析する。
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Causes of Carryover |
COVID-19のために購入予定であった研究試薬などの輸入や製造が大幅に遅れたため、必要な物品を入手するのに時間がかかったため。現在感染の鎮静化とともに流通状況が改善してきており、今年度に繰り越した研究費を利用予定である。
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