2020 Fiscal Year Research-status Report
B型肝炎ウイルスcccDNAの制御を目的とした分子機構の解明
Project/Area Number |
20K08380
|
Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
喜多村 晃一 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 主任研究官 (70378892)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村松 正道 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 部長 (20359813)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | B型肝炎ウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
B型肝炎ウイルス(HBV)は肝臓の主要な発がんウイルスで、感染者数は世界で約2.9億人と推定されている。HBV慢性感染により、肝炎から肝硬変や肝がんへと進行していくが、この感染の持続にはcovalently closed circular DNA(cccDNA)と呼ばれるウイルスDNAが感染細胞核内でミニ染色体として存在することが必須である。我々はこれまでの研究で、cccDNAに高頻度突然変異やDNA分解を引き起こす抗ウイルス因子、cccDNA形成や変異修復に関わる宿主DNA修復因子を複数同定してきた。本研究課題では、新たに開発したcccDNA実験系の活用により、cccDNA制御のより詳細な分子機構を解析する。 本年度は抗ウイルス因子APOBECタンパク質ファミリーやDNA修復因子の作用によってHBV cccDNAに変異が蓄積された結果として、ウイルス複製活性にどの程度の影響が生じるかを検討した。現行のHBV産生細胞を用いた実験では、HBV transgeneによる寄与が大きく、cccDNA由来のウイルス複製活性を解析することは難しい。そこで、細胞から回収したcccDNAを増幅、培養細胞へ再導入することによりcccDNAの持つ複製能を解析することでこの問題を克服した。現在、上記因子によるcccDNA変異頻度の変化とウイルス複製活性の相関を検討している。また、cccDNAに蓄積される変異パターンの解析を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HBV複製は細胞内でサイクルしているため、宿主因子によるcccDNA変異導入の結果がウイルス複製へどう影響するのかを厳密に解析することは困難である。本研究ではこの点を克服するために、新しい実験系によってcccDNAのみの増幅と再導入を行うことで、その複製活性の解析を可能にした。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初予定通り、候補宿主因子の発現制御でcccDNA複製能への作用解析を続ける。
|
Causes of Carryover |
(理由) コロナ禍で消耗品の入手が滞ることもあり、配列解析等は次年度に使用する事が効率的と考えたため令和3年度に持ち越しをした。 (使用計画) 未使用額は消耗品購入にあてる。
|
-
-
[Journal Article] MCPIP1 reduces HBV-RNA by targeting its epsilon structure2020
Author(s)
Li Yingfang、Que Lusheng、Fukano Kento、Koura Miki、Kitamura Kouichi、Zheng Xin、Kato Takanobu、Aly Hussein Hassan、Watashi Koichi、Tsukuda Senko、Aizaki Hideki、Watanabe Noriyuki、Sato Yuko、Suzuki Tadaki、Suzuki Hiroshi I.、Hosomichi Kazuyoshi、Kurachi Makoto、Wakae Kousho、Muramatsu Masamichi
-
Journal Title
Scientific Reports
Volume: 10
Pages: 20763
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
[Journal Article] N‐Terminal PreS1 Sequence Regulates Efficient Infection of Cell‐Culture?Generated Hepatitis B Virus2020
Author(s)
Murayama A, Yamada N, Osaki Y, Shiina M, Aly H H, Iwamoto M, Tsukuda S, Watashi K, Matsuda M, Suzuki R, Tanaka T, Moriishi K, Suzuki T, Nishitsuji H, Sugiyama M, Mizokami M, Shimotohno K, Wakita T, Muramatsu M, Liang T J, Kato T
-
Journal Title
Hepatology
Volume: 73
Pages: 520~532
DOI
Peer Reviewed