2021 Fiscal Year Research-status Report
B型肝炎ウイルスcccDNAの制御を目的とした分子機構の解明
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20K08380
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
喜多村 晃一 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 主任研究官 (70378892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村松 正道 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 部長 (20359813)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | B型肝炎ウイルス / ウイルス変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
B型肝炎ウイルス(HBV)は肝臓の主要な発がんウイルスで、感染者数は世界で約2.9億人と推定されている。HBV慢性感染により、肝炎から肝硬変や肝がんへと進行していくが、この感染の持続にはcovalently closed circular DNA(cccDNA)と呼ばれるウイルスDNAが感染細胞核内でミニ染色体として存在することが必須である。我々はこれまでの研究で、cccDNAに高頻度突然変異やDNA分解を引き起こす抗ウイルス因子、cccDNA形成や変異修復に関わる宿主DNA修復因子を複数同定してきた。本研究課題では、新たに開発したcccDNA実験系の活用により、cccDNA制御のより詳細な分子機構を解析する。本年度はin vitro及びin vivoにおける内在性APOBEC3ファミリーの発現レベルを詳細に検討した。これまでの解析により培養肝細胞HepG2をインターフェロンγで刺激することでAPOBEC3Gを始めとする複数のAPOBECファミリーが発現上昇することが分かっていたが、併せてHBVの存在の有無やDNA修復因子UNG抑制状況での発現レベルについて解析した。In vivo解析として、公共データベースから慢性B型肝炎患者及びコントロールの肝臓マイクロアレイ解析データを入手し、患者肝臓では培養細胞の結果と同様にAPOBECファミリーの発現が上昇していることが確認できた。これらの成果を昨年度のcccDNA変異解析とともに論文としてまとめ、報告した。今後、慢性感染を想定した長期培養の影響や、新たな宿主因子の作用について検討をすすめる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までにcccDNA実験系を活用した変異解析は進めていたので、本年度は変異頻度に影響する宿主因子の発現レベル解析に注力した。新型コロナウイルス流行の影響で消耗品入手が滞ることもあったが、公共データベースを活用したバイオインフォマティクス解析により検証を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
計画当初想定していた分子機構の詳細を提示することができたので、新たな候補因子の作用について検討を進めたい。
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Causes of Carryover |
(理由) 当初予定より早く論文投稿となり、引き続き進める実験消耗品の一部は次年度に使用することが効率的と考えたため、令和4年度に持ち越しをした。 (使用計画) 未使用額は消耗品購入にあてる。
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