2020 Fiscal Year Research-status Report
大腸T1癌術前転移予測とゲノムマーカーによる新たな内視鏡的根治判定基準の開発
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20K08385
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岡 志郎 広島大学, 病院(医), 講師 (30403538)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 信治 広島大学, 病院(医), 教授 (00260670)
卜部 祐司 広島大学, 病院(医), 助教 (10648033)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 大腸T1癌 / リンパ節転移 / 免疫染色 / リンパ管侵襲 |
Outline of Annual Research Achievements |
内視鏡的粘膜下層剥離術を施行した大腸T1癌373例のうち追加外科手術217例を対象に大腸癌治療ガイドラインのリンパ節(LN)転移リスク因子に加えて,低分化胞巣,浸潤先進部組織型,浸潤増殖様式 (INF a~c),粘膜筋板の性状,SM浸潤横幅について検討した。リンパ管 (Ly) はD2-40染色,静脈 (V) はVictoria blueもしくはElastica Vangieson染色で評価した。 既報のごとく,粘膜筋板の性状はTypeA~C,浸潤先進部組織型の中分化はMwとMpに細分類した。検討の結果, LN転移陽性は22例 (10%) で,Ly/V陽性のみで追加外科手術を施行した16例中3例 (19%) にLN転移を認めた。LN転移陽性例における各所見の割合は,主組織型が未分化型 1例 (5%),SM浸潤度1000μm以深 19例 (86%),Ly陽性 18例 (82%),V陽性 12例 (55%),BD2/3 13例 (59%),低分化胞巣Grade2/3 12例 (55%),浸潤先進部Mp/por 17例 (77%),INF b/c 17例 (77%),粘膜筋板TypeB/C 22例 (100%),浸潤横幅2500μm以上 20例 (91%) であった (重複あり)。LN転移陽性例におけるLy陽性,BD2/3,低分化胞巣Grade2/3,浸潤先進部Mp/por,浸潤横幅2500μm以上の割合はLN転移陰性例と比較して有意に高かった (p<0.05)。多変量解析ではLy陽性のみが独立したLN転移リスク因子であった (OR 4.8,95% CI 1.3-17.5,p=0.0187)。 以上より, 免疫染色を用いたLyの評価が最も有用なLN転移リスク因子と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、研究に適切な大腸T1癌症例100例(主にLN転移ハイリスク症例)を抽出し、これらの患者に対して研究への同意を求める必要があるが、この大腸T1癌のサンプルの収集が遅れていることが進捗状況が遅れている主な要因である。
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Strategy for Future Research Activity |
既存のサンプルによる免疫染色やゲノム解析と臨床データ(転移再発・予後)との関連を中心に解析を進めていいく予定である。さらに研究に適切な大腸T1癌症例のサンプルの収集に務める。
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