2022 Fiscal Year Research-status Report
先天性心疾患に伴う右室機能不全における炎症細胞の役割
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20K08398
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
相馬 桂 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90755696)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | シャント性心疾患 / 成人先天性心疾患 / マクロファージ / 好酸球 |
Outline of Annual Research Achievements |
診断、治療技術の進歩により多くの成人先天性心疾患患者の予後は改善してきている。しかし、右室機能不全や肺高血圧症を合併した成人先天性心疾患患者の予後は依然として悪いことが知られている。シャント性心疾患における肺血流増加は長期的に肺血管・右室リモデリングを引き起こすが、これまでその病態機構は明らかにされて来なかった。 我々は肺血流量増加と低酸素血症を合併するマウス病態モデルを構築しこのモデルを用いた解析を行った。マウスの左肺を切除した後、8.5%酸素下での低酸素飼育を行うことにより、著しい肺血管リモデリングを呈するモデル(シャント性心疾患モデル)である。このモデルは低酸素ストレスと定量性を持った右肺動脈血流増加を背景とした、臨床上のシャント性心疾患の病態を反映した病態モデルと考えられる。このマウスモデルを用いて、肺血管周囲に浸潤する炎症細胞をフローサイトメトリーを用いて経時的に解析した。特に血管平滑筋細胞の増殖期に集積するマクロファージに着目したところ、間質のM2マクロファージの早期浸潤が血管平滑筋増殖に関わること、間質マクロファージの除去により肺血管リモデリングが明らかとなった。続いて細胞集団特異的なLoss of function approachによりこのマクロファージ亜集団のシャント性心疾患モデルにおける機能的役割を検証した。また、このM2マクロファージの増加とともに好酸球も増加していることがわかった。好酸球除去によるM2マクロファージ除去によっても肺血管リモデリングの軽減を得た。本研究では、低酸素ストレスによる炎症細胞浸潤がシャント性疾患において肺血管リモデリングを増悪させる機構の解析を通じて、炎症制御が肺高血圧治療の一助となることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年と一昨年、COVID流行によるマウス室入室制限があったため全体的な進捗が遅れている
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Strategy for Future Research Activity |
M2マクロファージ由来の肺血管、右室リモデリング促進因子をRNAシークエンスによって探索し、この候補因子のLoss of functionを確認する
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Causes of Carryover |
COVID流行でマウス小屋への入室制限があり実験が遅れていたため。 今後、in vivo in vitroでの解析、マウス、試薬の購入に残額を使用予定
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Research Products
(10 results)