2020 Fiscal Year Research-status Report
小胞体選択的オートファジーの制御システムを標的とした心不全発症機序の解明
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20K08399
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
前嶋 康浩 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (40401393)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ERファジー / ERストレス / CCPG1 / 心不全 / 薬剤性心筋症 |
Outline of Annual Research Achievements |
小胞体(ER)ストレスは心不全の発症や病状進展に重要な役割を果たしており、その制御機構が創薬の標的として注目されている。申請者はオートファジーの制御異常による心筋細胞におけるタンパクの品質管理低下や、障害を受けたミトコンドリアを選択的に分解するオートファジーの機能異常が心筋細胞の生存を脅かし、心不全を発症するに至ることとその分子機序を解明してきた。このたびはこれらの成果を発展させ、心筋細胞においてストレスに曝されてダメージを受けたERが選択的オートファジーによって除去される分子機序を解明するための研究を開始した。令和2年度は慢性心不全モデル動物におけるダメージを受けたERがERファジーにより除去されることで心機能の改善に寄与しているかどうかについて、検出が困難とされるERファジーを組織学的にモニタリングするため、蛍光プローブssRFP-GFP-KDELが心筋特異的に発現するトランスジェニックマウスを作成し、このマウスを用いてドキソルビシン心筋症マウスモデルを作成し、その表現型および機能解析を行った。また、ERファジーの鍵分子であるCCPG1のノックアウトマウスを用いてドキソルビシン心筋症マウスモデルを作成し、その表現型および機能解析を行った。その結果、ドキソルビシン心筋症マウスモデルの心筋ではERファジーが亢進していることを見いだした。また、CCPG1ノックアウトマウスのドキソルビシン心筋症モデルでは野生型マウスのドキソルビシン心筋症モデルと比較して明らかに心機能が低下することを見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vivo実験にて、ドキソルビシン心筋症マウスモデルの心筋ではERファジーが亢進していることと、CCPG1ノックアウトマウスのドキソルビシン心筋症モデルでは野生型マウスのドキソルビシン心筋症モデルと比較して明らかに心機能が低下する、という予想通りのデータが得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度以降も当初の計画に沿った実験を継続し、期限内に目的が達成できるよう努める方針である。
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Causes of Carryover |
理由:購入物品が予算立案時より安価に購入できたため。 使用計画:本年度購入予定の消耗品購入に充てる予定。
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