2022 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体選択的オートファジーの制御システムを標的とした心不全発症機序の解明
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20K08399
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
前嶋 康浩 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (40401393)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 小胞体ストレス / オートファジー / ドキソルビシン / 心不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
小胞体(ER)ストレスは心不全の発症や病状進展に重要な役割を果たしており、その制御機構が創薬の標的として注目されている。申請者はオートファジーの制御異常による心筋細胞におけるタンパクの品質管理低下や、障害を受けたミトコンドリアを選択的に分解するオートファジーの機能異常が心筋細胞の生存を脅かし、心不全を発症するに至ることとその分子機序を解明してきた。このたびはこれらの成果を発展させ、心筋細胞においてストレスに曝されてダメージを受けたERが選択的オートファジーによって除去される分子機序を解明するための研究を開始した。ER-phagyレポーター遺伝子を心筋細胞に導入し、ER-phagy活性のモニタリングが可能なレポーター細胞を作成するとともに、心筋特異的にレポーター遺伝子を発現するトランスジェニックマウスを作成し、ER-phagy発現の解析系を樹立して解析を行ったところ、心筋細胞におけるER-phagy活性がDOX投与によって亢進することを見いだした。DOX投与による心筋細胞における遺伝子発現変化をqRT-PCRによって解析したところ、ER-phagy誘導分子であるCCPG1の発現量がDOX投与によって有意に増加していた。心筋細胞におけるCCPG1を介したER-phagyの誘導が及ぼす影響を検討するために、RNA干渉レンチウイルス発現ベクターを導入したCCPG1機能喪失心筋細胞およびCCPG1低発現マウスを樹立した。これらのモデルにDOXを投与したところ、ER-phagyの誘導が著明に抑制されることに加えて、UPRの破綻を示唆するERストレスマーカーが上昇し、心筋細胞のアポトーシスが有意に多く誘導されることを見出した。さらに、DOX投与が及ぼすマウスの心機能への影響を解析したところ、野生型マウスに比較してCCPG1低発現マウスで有意な心機能低下が引き起こされることを見いだした。
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Research Products
(3 results)