2021 Fiscal Year Research-status Report
特発性肺動脈性肺高血圧症由来肺動脈平滑筋細胞のエネルギー代謝の解明と治療薬の開発
Project/Area Number |
20K08424
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
赤木 達 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (60601127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 一文 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (10335630)
吉田 賢司 岡山大学, 医歯薬学域, 講師 (70532761)
伊藤 浩 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (90446047)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ミトコンドリア代謝 / 解糖系 / 肺高血圧症 |
Outline of Annual Research Achievements |
特発性肺動脈性肺高血圧症(Idiopathic pulmonary arterial hypertension: IPAH)由来の培養肺動脈平滑筋細胞(pulmonary artery smooth muscle cells: PASMC)及び非肺高血圧症由来の培養肺動脈平滑筋細胞を、常酸素チャンバー及び低酸素チャンバーに72時間培養後、RNA、蛋白サンプルを得て、ピルビン酸脱水素酵素(Pyruvate dehydrogenase: PDH)、ピルビン酸脱水素酵素キナーゼ(PDH kinase 1: PDK1)、乳酸脱水素酵素(lactate dehydrogenase: LDH)の発現を調べた。PDH及びPDK1は、常酸素下及び低酸素下いずれにおいてもIPAH由来PASMCで非IPAH由来PASMCより高発現していた。一方LDHは常酸素下のみIPAH由来PASMCで非IPAH由来PASMCより高発現し、細胞内乳酸も常酸素下のみIPAH由来PASMCで多かった。以上からIPAH由来PASMCでは常酸素下で解糖系が亢進していることが明らかとなった。 次にフラックスアナライザーを用いてIPAH由来PASMC、非IPAH由来PASMCのミトコンドリア代謝を調べた。常酸素、低酸素いずれもミトコンドリア代謝が非IPAH由来PASMCと比べ、IPAH由来PASMCで低下し、解糖系によるエネルギー代謝が亢進していた、ところがATP産生を調べてみると、常酸素下では非IPAH由来PASMCと比べPAH由来PASMCでATP産生が低下していたが、低酸素下では逆にIPAH由来PASMCでのATP産生が非IPAH由来PASMCを上回っていた。この結果からIPAH由来PASMCではミトコンドリア代謝が比較的保たれていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目に予定していた、フラックスアナライザーを用いたミトコンドリア代謝を調べることができたため
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの実験結果から、IPAH由来PASMCでは①常酸素下で解糖系が亢進している、②低酸素下でも解糖系は亢進しているが、非IPAH由来PASMCと比べるとミトコンドリア代謝が保たれている、ということが明らかなになった。この低酸素でもミトコンドリア代謝が保たれているという事実がIPAH由来PASMCの細胞特性と関係あるのか、今後動物実験も含めて検討していく予定である。
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Research Products
(8 results)