2022 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the effect of E4BP4 on the development of atherosclerosis
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20K08433
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
磯田 菊生 順天堂大学, 大学院医学研究科, 先任准教授 (00532475)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 炎症 / 時計遺伝子 / 血管傷害 / 内膜肥厚 / 動脈硬化 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究で炎症を促進するTh1細胞を持続的に刺激すると、E4BP4というタンパク質がTh1細胞に発現し、抗炎症性サイトカインのIL-10を産生することが報告されていた。これは炎症が遷延化するとTh1細胞にE4BP4が発現し、抗炎症作用を惹起すると考えられていた。そこで申請者は血管系の慢性刺激としてカフによる外膜刺激を加え、野生型マウスではこれらの慢性刺激によりE4BP4が誘導され、内膜肥厚が抑制されるのではないかという仮説の実証を行った。申請者らが長年施行しているカフ傷害モデルとは、麻酔下でマウス大腿動脈に長さ2mm×内腔0.56mmのポリエチレンカフを巻き、切開した筋膜と皮膚を縫合したのち2週間飼育する方法である。このモデルではポリエチレンカフを動脈の閉塞をきたさない程度に巻くことで、慢性的な外膜刺激を与えることになり、野生型マウスではE4BP4タンパクが誘導され炎症抑制に働くが、E4BP4欠損マウスでは抗炎症効果が得られないため、炎症が遷延・増強すると予想していた。実際カフ傷害をE4BP4欠損マウスと野生型マウスに加えたところ、仮説とは逆にE4BP4欠損マウスの方が、傷害血管の炎症が少なく、内膜肥厚が抑制されていた。得られた組織の内膜肥厚の定量評価および統計解析を加え、統計的な有意差を得ることができた。免疫染色による検討でもE4BP4欠損マウスでは、炎症性サイトカインの発現が抑制されていることが示された。 更に並行して検討している動脈硬化モデルマウスであるApoE欠損マウスとE4BP4/ApoEダブル欠損マウスを用いた動脈硬化形成実験においてもE4BP4を欠損させると動脈硬化形成領域が減少することが示された。 以上より、E4BP4は刺激に対して炎症を促進する可能性が示唆される結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験開始時に新型コロナウイルスの蔓延に伴い、マウスの繁殖や実験を行うことが困難となり1年以上の遅れをきたした。現在当初予定していた実験を行える状態となったたため、遅れているがデーター収集が行なえている。
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Strategy for Future Research Activity |
カフ傷害をE4BP4欠損マウスと野生型マウスに加えたところ、仮設とは逆にE4BP4欠損マウスの方が、傷害血管の炎症が少なく、内膜肥厚が抑制されていた。この機序を解明するため、免疫染色・定量的PCRを行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス蔓延による実験の遅れと相次ぐ学会開催の中止により、使用予定額が1年繰り越しとなった。次年度では、免疫染色行う抗体購入や定量的PCR施行のためのプライマー作成や試薬購入に使用する予定である。
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