2021 Fiscal Year Research-status Report
病院前12誘導心電図の有用性の検証とその普及ー神奈川循環器救急レジストリー研究ー
Project/Area Number |
20K08434
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
鈴木 洋 昭和大学, 医学部, 教授 (90266106)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 功一 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (40285143)
明石 嘉浩 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (40350615)
阿古 潤哉 北里大学, 医学部, 教授 (60292744)
海老名 俊明 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 准教授 (60336568)
伊苅 裕二 東海大学, 医学部, 教授 (70271567)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 急性心筋梗塞 / レジストリー研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性心筋梗塞 (AMI)は、急性期死亡率は10%以下になったもののそれ以上の改善はみられていない。ST上昇型心筋梗塞 (STEMI)の予後改善に最も重要なことは、可能な限り早期の再灌流の実現による全虚血時間の短縮である。本邦のガイドラインでも、救急隊による病院前12誘導心電図 (PHECG) 判読または伝送の重要性がうたわれているが、本邦において、PHECGがSTEMIの予後改善に寄与するかは明らかではない。神奈川県では県全体を網羅する神奈川循環器救急レジストリー(K-ACTIVE)を行っているが、PHECGを施行している地区と施行していない地区が存在する。また、施行している横浜地区においてもこれまでは記録判読のみがほとんどであったが、昨年から伝送を漸次開始している。本研究では、これまでのデータと今後のデータを用いて、本邦におけるPHECG使用による全虚血時間短縮の程度や予後改善効果、また記録判読のみとそれに伝送を加えることで差があるかを解析し、PHECGを普及させることを目的とする。 これまでのK-ACTIVEのデータから、PHECGを記録の有無、循環器内科医の初期対応の有無に分けてD2B (Door to Balloon) 時間等の解析を行った。FMC (first medical contact) to Door時間は4群でかわらなかったが、D2B時間とFMC to Balloon 時間はPHECG有りで循環器内科医の初期対応有りのグループで最も短かった。FMC to Balloon 時間90分以内の達成率もPHECG有りで循環器内科医の初期対応有りのグループで最も高かった。また、院内死亡率は、PHECG無しで循環器内科医の初期対応なしのグループで11.9%と最も高かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウイルス感染症が蔓延している状態で、症例の登録が2020年度、2021年度はこれまでの年度より明らかに少なく、医療従事者の繁忙による登録率の低下なのか、あるいは本当にAMIの発症率が低下しているかもあわせて解析していく予定である。CRC(Clinical Research Coordinator)による施設訪問も一部で規制されている状態であり、データシート入力補助業務も進行が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)データシート編集:現在のデータシートの項目としては、患者情報、来院時バイタル所見、発症から冠動脈造影終了時までの各時間、搬送手段、重症度、入院中イベント、その後の転帰、PHECG等についてであるが、1年ごとに見直しを行う。 (2)データ解析: 1)これまでの約10000例のうちのSTEMI患者をPHECG記録なし群、記録判読のみ群に分けて解析を行う。D2B 時間, FMC to Balloon時間、全虚血時間を解析し、その院内死亡率や1年予後との関連を検討する。JRC2015 の目標である、FMC toBalloon時間90分以内、全虚血時間120分以内の達成率についても各群で検討する。各目標値の達成できていない要因(患者遅延、搬送遅延、PCI施行不可能施設への搬送)についても検討する。2)平成30年度から漸次開始されている、横浜市のPHECG記録判読に加えて伝送システムを利用し伝送を行っている群について解析し、前年解析したPHECG記録なし群、記録判読のみ群との比較を行いその有用性を検証する。 (2)データ分析の結果への介入:上記の解析をもとに、PHECGの記録判読のみでよいのか、あるいは伝送まで行った方がD2B時間や全虚血時間の短縮につながるかを検討し、それに基づき神奈川県全域はPHECGの普及をはかる。PHECG記録が一部で試験導入されている川崎市、今後の導入が期待される湘南地区、相模原地区については各地域代表者が中心となり各地区のK-ACTIVE参加施設、地域の救急隊(medical control)とPHECG導入へむけた協議を開始する。その際、神奈川県(神奈川県生活習慣病対策委員会がん循環器病対策部会循環器疾患等分科会)、神奈川県内科医学会心臓病対策委員会等とも連携して導入をすすめていく。
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Causes of Carryover |
病院前12誘導心電図測定機器は、当初は本科学研究費より購入予定であったが、横浜市より配備された。よって、データベースの修正や保守を中心に研究費を使用していたため、今年度に余剰金が生じ、次年度に繰り越しを行った。 次年度以降は、神奈川県の他の地域への病院前12誘導心電図測定機器の導入をすすめる予定である。また、データ解析にも費用を使用予定である。
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[Journal Article] The impact of pre-hospital 12-lead electrocardiogram and first contact by cardiologist in patients with ST-elevation myocardial infarction in Kanagawa, Japan.2021
Author(s)
Hiroyoshi Mori , Atsuo Maeda, Yoshihiro Akashi, Junys Ako, Yuji Ikari, Toshiaki Ebina, Kouichi Tamura, Atsuo Namiki, Kazuki Fukui, Ichiro Michishita, Kazuo Kimura, Hiroshi Suzuki
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Journal Title
Journal of Cardiology
Volume: 78
Pages: 183~192
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Impact of Hospital Volume on Ischemic Time and In-hospital Mortality in Patients with ST-Segment-Elevation Myocardial Infarction:Data from K-ACTIVE Registry2021
Author(s)
Jin Kirigaya, Toshiaki Ebina, Kazuki Fukui, Atsuo Maeda, Yoshihiro Akashi, Junya Ako, Yuji Ikari, Kouichi Tamura, Atsuo Namiki, Ichiro Michishita, Kazuo Kimura, Hiroshi Suzuki
Organizer
第86回日本循環器学会学術集会
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[Presentation] Clinical Impact of Malnutrition with Acute Myocardial Infarction in Octogenarian from Kanagawa-Acute Cardiovascular Registry(K-ACTIVE)2021
Author(s)
Kaoru Sakurai, Koji Azegami, Atsuo Maeda, Yoshihiro Akashi, Junya Ako, Yuji Ikari, Toshiaki Ebina, Atsuo Namiki, Kazuki Fukui, Ichiro Michishita, Kazuo Kimura, Hiroshi Suzuki
Organizer
第86回日本循環器学会学術集会
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[Presentation] The Outcome and Clinical Features of Acute Myocardial Infarction in Young Japanese Adults -From K-ACTIVE Registry-2021
Author(s)
Ryota Maeno, Kaoru Sakurai, Koji Azegami, Atsuo Maeda, Yoshihiro Akashi, Junya Ako, Yuji Ikari, Toshiaki Ebina, Atsuo Namiki, Kazuki Fukui, Ichiro Michishita, Kazuo Kimura, Hiroshi Suzuki
Organizer
第86回日本循環器学会学術集会