2021 Fiscal Year Research-status Report
急性心不全及び急性心筋梗塞後の予後予測因子としての血漿遊離DNAの臨床応用
Project/Area Number |
20K08436
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
河合 康幸 金沢医科大学, 医学部, 教授 (40324157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤林 幸輔 金沢医科大学, 医学部, 助教 (10633323)
藤原 純子 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (20346381)
若狭 稔 金沢医科大学, 医学部, 助教 (50468980)
竹下 治男 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (90292599)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 血漿遊離DNA / 急性心不全 / アポトーシス / 左室リモデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
目的と方法 急性心不全患者において、心筋から血漿遊離DNAが放出されているか否かを検討した。30人の急性心不全による初回入院患者を対象とした。BNPとトロポニン、左室駆出率(EF)を測定した。心不全改善時に冠動脈造影及び心筋生検を行った。また同時に中心静脈、大動脈基部、冠静脈洞から採血を行った。心筋サンプルより組織学的評価を、血漿サンプルより遊離DNA濃度を測定した。 結果と考察 心筋細胞から遊離DNAが放出されているか評価するために冠静脈洞と大動脈基部の血漿遊離DNA濃度の差(⊿cfDNA)を算出したところ18人が正値であり、その平均値±SDは、3.1±3.5 micro g/mlであった(陽性群)。逆に⊿cfDNAが負の値になった患者は12人でその平均値±SDは、-3.1±2.4 micro g/mlであった(陰性群)。また陽性群、陰性群それぞれの血漿遊離DNA濃度は、6.2±3.8、4.2±1.8 micro g/mlと有意に陽性群で高値であった。陽性群、陰性群の相違は何によるのか検討したが、いずれのパラメーターとも相関がなかった。組織学的検討では、陽性群において18人中、線維化を認めなかった患者が11人であったのに対し、陰性群では、12人中、線維化を認めなかった患者が3人のみであった。当初、心不全患者はすべて心臓でアポトーシスが生じ、遊離DNAが放出されるものと予想していたが、陽性患者は、30例中18例であった。⊿cfDNAが負になる意味は現在のところ不明であるが、組織学的には、陽性群が、陰性群に比べ、線維化の程度が軽度であることから、現在、陽性群では心筋細胞のアポトーシスが生じており、将来、線維化が起こる過程を捉えているのではないかと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19感染症のため、当初、研究対象患者が少なかったため。最近は急性心不全患者が増加している。しかしながら急性心筋梗塞患者は減少しており研究は進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の検討として以下を準備している。 ①、組織標本においてアポトーシスの程度を評価し、⊿cfDNAとの相関を明にする。②、半年後のリモデリングの程度と⊿cfDNAとの相関を検討する。
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Causes of Carryover |
COVIC-19感染症で十分な研究対象患者が得られなかったため、研究の進捗が遅れている。 次年度は、主にApopTag In Situ Detection Kitを購入し、心筋組織標本より心筋のアポトーシスの程度を評価する予定である。
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